春の庭でエッグハントを楽しむイースターバニーを表現したスイーツ(提供写真)
 春の庭でエッグハントを楽しむイースターバニーを表現したスイーツ(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【5日(土)】

 ▽「ヒルマ・アフ・クリント展」(~6月15日、千代田区)

 抽象絵画の先駆者、また神秘主義の画家として近年世界的に注目を集めているヒルマ・アフ・クリント(1862~1944年)の大回顧展が、竹橋の東京国立近代美術館で開催されている。

 生前、また没後も長らくほとんど知られていなかったが、次第に評価が高まり、2018年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で60万人超の入場を記録した。生涯に約1300点の絵画と、2万6千ページに及ぶスケッチやメモを残し、うち約140点が日本初公開。

 19世紀後半のスウェーデンで正統的な美術教育を受け職業画家の道を歩み始める。「その一方で神秘主義に傾倒し、交霊術などを通してアカデミックな美術とは異なる抽象表現を生み出した」と美術課長の三輪健仁さんは解説する。

 「神智学」の影響を受け、4人の親しい女性たちとグループ「5人」を結成したころのドローイングには、らせんや波線、植物や細胞などのモチーフが見てとれる。高次の霊的存在からメッセージを受け取り、自己の意識にとらわれない描写を試みたとされる。

 最大の見どころは、それぞれ高さ3メートルを超える10点組みの大型絵画「10の最大物」だ。「楽園のように美しい10枚の絵画」を制作する啓示を受けたとして、人生の四つの段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)を描いた。幾何学的デザイン、花弁や巻き貝を思わせるさまざまな形。画面から色彩の明るさと豊かさがあふれ出る。

 アフ・クリントは同時代の抽象画家モンドリアンらに先んじて抽象画を創案したともいわれている。三輪さんは「美術史的な位置づけ作業がなお進行中の画家だが、現代の私たちの目から見ても、20世紀初頭の彼女の作風が、いかに“新しいか”はわかるはず。神秘性と共に表現の先駆性を感じ取ってほしい」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【5日(土)】

 ▽「ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界」(~5月11日、渋谷区、事前予約制)

 スペインのブランド「ロエベ」初の大型展覧会が、原宿で開催されている。

 1846年にレザー職人が集う工房としてマドリードで創業。“遊び心”あふれる演出を交えてさまざまな革製品やファッション、アート作品を展示し、世界的なブランドになるまでの179年の歴史を伝えている。

 「アマソナ」「パズル」など人気バッグの初期デザインから、ビーズを繊細に使った職人技が光るメロン形のクラッチバッグや、魚をモチーフにしたラフィア素材のポーチなどの最新コレクションまで、“ものづくり”の道のりを存分に楽しめる。バッグに使われるカラフルな革の数々をディスプレーし、精密にかたどられたレザーが縫い合わさって製品となる工程も紹介する。

 アートやエンターテインメントへの関心も伝わる。スタジオジブリの名作にインスパイアされた高さ2メートルの「ハウルの動く城 バッグ」が登場。「ハンモック」「フラメンコ」などアイコニックなバッグの要素を複雑に組み合わせて、物語の世界観を高度なクラフト技術で再現してみせた。

 米歌手ビヨンセさんがワールド・ツアーで着用したゴールドクリスタルをちりばめたボディースーツ、カナダの俳優テイラー・ラッセルさんがニューヨークで披露したハイネックのトップスとドレープスカートなど、美しいカスタムウエアも。

 圧巻は、3月に退任したクリエーティブディレクターのジョナサン・アンダーソンさんが2013年の就任以降に発表した54体のルックコレクションがならぶ会場。彫刻的なフォルム、トロンプルイユ(だまし絵)効果や意外性のある素材を使った衣服を見て回るうちに、ショー会場を歩いているような感覚を覚える。

 スペインの手仕事の伝統に触れつつ、“革新と創造”の進化を目の当たりにできるだろう。

 ▽「2025年イースターに向けた限定チョコレート」(~30日、港区)

 20日のイースター(復活祭)に向け、すべてチョコレートで作られたスイーツが、「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」内のショップで販売されている。

 ウサギがモチーフのチョコレートをトップに飾り、春の庭でイースターバニー(復活祭のウサギ)がエッグハント(卵探し)をする様子を表現。卵形チョコを割るとパステルカラーのドラジェ(糖衣菓子)がこぼれ出し、自分も卵を探しているような気分が味わえる。予約は受取希望日の3日前まで受け付け。

 ▽「御殿山さくらまつり2025」(~6日、品川区・御殿山トラストシティ)

 広大な敷地内に咲き誇る11種71本の桜を観賞できるイベントが、御殿山で行われている。江戸庶民に花見文化を奨励した8代将軍・徳川吉宗の命令により桜が植えられた、歴史的スポットとして知られる。

 週末5~6日には特別な花見体験として、桜を眺めながら足湯につかる「御殿山花見の湯」、シャボン玉のパフォーマンス「しゃぼん玉ショー」を開催。吉宗の故郷・和歌山の日本酒を試飲できるイベントも。ライトアップされた夜桜も楽しめる。