新型コロナウイルス禍で経営が悪化した中小企業を支援するため、利子も担保も実質不要とした国の制度「ゼロゼロ融資」の返済が本格化している。
感染が収束すれば事業も元に戻るとの見方から昨年末までの融資実績は全国で249万件、約43兆円に上った。兵庫県内では4万4千社が利用した。
ところがロシアのウクライナ侵攻に端を発する原材料やエネルギー価格の上昇、最近の人件費高騰など、経済環境はコロナ禍の3年で一変した。社会活動が元に戻っても中小企業の苦境は続き、ゼロゼロ融資の返済で経営が行き詰まりかねない。
県内の2023年1~6月期の倒産は243件と全都道府県で5番目に多く、前年同期からの増加率は最も高い。ゼロゼロ融資返済で、今後さらに増える可能性がある。コロナ禍からの経済回復を着実に軌道に乗せるために、官民で中小の事業再生を後押しするべきだ。
ゼロゼロ融資は20年3月に始まった。政府の支援で最長3年間、元金の返済も猶予される。緊急事態宣言で経済活動が滞っても、倒産件数を低水準にとどめる効果があった。
本来なら倒産してもおかしくない中小企業を延命させたとの見方もある。だが懸命に経営再建に取り組む企業をひとくくりに「ゾンビ」などと揶揄して切り捨てる風潮は看過できない。
経済活動は数多くの中小企業に支えられ、その雇用が従業員や家族の生活を支えている。破綻する企業が増えれば、失業救済や労働移動など社会的費用も膨らむ。経営によほど問題がない限り、再生を目指す企業は積極的に支援する方が、社会全体ではプラスといえる。
経済産業省の委託を受けた公的機関「兵庫県中小企業活性化協議会」では、経営者から相談を受ければ業績悪化の度合いに応じて、金融機関と連携し支援メニューを策定する。金融機関のネットワークを介して他社に事業を譲渡し、破綻が避けられるケースも少なくない。
業績不振が長引くほど事業価値は下落し再生の道筋も描きにくくなる。迅速な判断が重要だ。進退に窮する前に関係機関と善後策を練り、雇用や事業の維持に努めてもらいたい。























