兵庫県内の自治体が、政府の補正予算に盛り込まれた食料品高騰対策の交付金などを用いた施策を次々と打ち出している。政府が交付金の使途に推奨する「おこめ券」の配布は少数派だ。事務経費がかさむことなどが理由で、給食無償化や現金給付などに充てる自治体もある。
補正予算では、物価高対策として自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」を2兆円計上した。うち4千億円を食料品価格の高騰に対応する特別加算枠とし、1人当たり3千円相当を受け取れるとしている。
使い道や対象は自治体の判断に委ねられる。政府は一例として、おこめ券を推奨している。県内では尼崎、西宮、川西市が配布を決めた。尼崎市は今秋にも独自に配っており、迅速に対応できるとする。コメ価格は依然、高値水準にあり、家計の一時的な負担軽減にはなろう。だが配布にかかる経費や職員の事務負担は大きく、敬遠する自治体が相次ぐのは無理もない。
おこめ券は全国農業協同組合連合会(JA全農)と全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が1枚500円で販売するが、交換できるコメは印刷費などを差し引いた440円分だ。批判を受け、今回の新規発行分は経費率を下げる方針が示されたが、弥縫(びほう)策に過ぎない。
公平性の面でも課題は多い。値上がりしている食料品はコメだけではないからだ。
明石市は交付金を活用し、国が来年度から予定する小学校給食の無償化を2月に前倒し実施する。神戸市も中学校給食の食材費の高騰対策などに充てる。姫路市や伊丹市はギフトカードで対応し、三田市は全市民に現金を給付する。水道の基本料金減免に踏み切る自治体も多い。
兵庫県はプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+(ペイプラス)」を追加発行する。プレミアム率を50%に引き上げるが、直近の利用率は県人口の15・5%にとどまる。地域間の利用率格差も指摘され、公平性の確保に留意が必要だ。
交付金の原資は税金と国の借金である。「ばらまき」に終わらぬよう、地域の実情を踏まえた創意工夫が求められる。住民の声に耳を傾け、効果的な対策に知恵を絞ってもらいたい。
























