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 阪神・淡路大震災の発生から31年となったきのう、兵庫県内各地で追悼行事が営まれた。

 「1・17のつどい」が開かれた神戸・三宮の東遊園地では、早朝から多くの人が訪れ、祈りをささげた。

 神戸市主催の「追悼の集い」では、母が行方不明になった加古川市の佐藤悦子さん(62)が遺族代表の言葉を述べた。行方不明者の家族が務めるのは初めて。31年たっても「捜し続ける日々があり、会いたいと思い続ける人がいることを知ってほしい」との訴えに、震災は終わっていないと思い知らされる。

 昨年の「震災30年」を区切りに追悼行事を取りやめる動きも目立つ。一方で、東遊園地では幼い子どもを連れた家族や、つどいの運営に携わった学生ら若い世代の姿が多く見られた。

 赤穂市の40代の夫妻は、小学生の息子3人を連れて初めて参加した。「学校で習うだけでなく、実際の祈りの空気を感じてほしかった」と話す。

 つどいの実行委員会には関西の大学生グループが加わり、子どもにも楽しんでもらおうと震災モニュメントを巡るスタンプラリーを初めて企画した。チェックポイントで懐中電灯、ラジオなどのスタンプを集め、非常用持ち出し袋を完成させる。メンバーの冨士原陽詩(ようた)さん(20)は「震災のことは知らなくても、『1・17』にこの公園で祈ったり、遊んだりしたことを覚えていてくれれば」と話す。

 震災を体験した世代は減り、震災を知らない世代が増えていく。時の流れは止まらないが、体験に触れようとする一人一人の思いと行動があれば、記憶の糸はつむがれていく。

 慰霊、学び、再会、交流など訪れる目的はそれぞれだろう。年に一度でもいい。それらの思いを受け止める「場」が各地にあることが重要だ。その担い手を支える工夫も欠かせない。

 この地で大きな地震が起き、多くの尊い命が失われたこと、どれだけ時間がたっても消えない悲しみがあること。互いに支え合い、何とか生きて

きたこと。被災地に刻

まれた記憶の数々を次

世代に伝えるために、

私たちに何ができるか

を考え続けたい。