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 中国の国会に相当する年1度の全国人民代表大会(全人代)がきのう、閉幕した。

 政府活動報告や2026年から始まる中期経済目標「第15次5カ年計画」を承認・採択した。停滞する国内経済への危機感をにじませながらも、米国との競争を念頭に軍拡を続ける姿勢が鮮明になった。

 習近平指導部がこれまでと同様に高成長を目指すのかが注目された。国内総生産(GDP)の成長率目標は25年まで3年連続で「5%前後」だったが、26年は「4・5~5・0%」に引き下げた。GDPを経済指標に採用した1990年代前半以降、最も低い水準である。

 ここ数年、不動産不況で消費が低迷しているにもかかわらず、高い経済目標を達成するために過剰な投資や生産を招く悪循環に陥っていた。安売り競争で企業は疲弊し、デフレ圧力が高まっている。成長の減速を認める現実路線にかじを切らざるを得なかったのが実情だろう。

 過剰に生産した鉄鋼や太陽光パネルなどで輸出攻勢をかける手法は限界を迎えている。中国は世界第2位の経済大国である。輸出頼みから消費主導の内需型に転換し、持続可能な成長を目指すことが何より求められる。急速に進む少子高齢化や、深刻化する若者の失業への対策も急がれる。

 5カ年計画では人工知能(AI)やロボットなどの分野で競争力を高め、重要な科学技術を他国に頼らない「自立自強」を加速させるとした。世界的なシェアを背景に経済的威圧のカードに使ってきたレアアース(希土類)についても、関連産業の強化を盛り込んだ。

 26年の国防費は前年比で7%増え、過去最大の1兆9095億元(約44兆円)に上る。経済成長を大きく上回る伸びで、日本の防衛費の約5倍に当たる。今後、AIや無人兵器を活用して「軍事の知能化」を進めるといい、台湾統一をにらみ、軍備増強に突き進んでいる。

 活動報告では「台湾独立分裂勢力に断固として打撃を与える」とし、昨年の「断固反対」から表現を強めた。王毅外相は台湾有事を巡る高市早苗首相の発言に対し「日本が干渉する資格はあるのか」と非難した。

 緊張をあおり、軍拡を正当化する言動は容認できない。高市首相は日本の国益を見据え、粘り強く対話に取り組まねばならない。

 中国は「覇権主義への反対」を唱えてきたが、全人代では米国によるイラン攻撃への批判を避けた。3月末に訪中予定のトランプ米大統領に対する配慮がうかがえる。自らが掲げる「大国外交」の内実が今こそ問われていると認識するべきだ。