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 消費税減税や給付付き税額控除の導入を超党派で協議する「社会保障国民会議」が実務者会議を開き、制度設計の議論を本格化させた。

 2月の衆院選直後の初会合は、減税を実現できなかった場合に責任転嫁されるとの政権不信から、野党の大半は参加しなかった。今回は、議事録要旨の公開などの条件が満たされたとして中道改革連合、立憲民主党、公明党が加わり、すでに参加していたチームみらい、国民民主党も合わせ、政権が参加を呼びかけた野党がそろった。

 懸念するのは負担軽減策ばかりに議論が傾き、社会保障を支える財源や人材確保の在り方が抜け落ちている点だ。

 衆院選では飲食料品の消費税率について、与党の自民党と日本維新の会は2年間限定でゼロに引き下げることを国民会議で検討するとした。中道改革連合は恒常的にゼロとし、国民民主は条件付きで全品目5%への引き下げを唱えた。

 消費税減税には、所得が低くなるほど減税効果が薄まる短所がある。一方、給付付き税額控除は税控除と中低所得層への現金給付を組み合わせ、所得に応じてきめ細かく対応できる。いずれの党も給付付き税額控除には賛同している。

 ただ食料品の消費税率ゼロは年間で約5兆円の税収減となり、給付付き税額控除も規模次第で必要な財源は膨らむ。各党とも、その点への踏み込みが足りない。

 高市早苗首相は消費税を社会保障の貴重な財源とする一方で、「特例公債に頼ることなく」減税のあり方を探ると述べた。政権は各党が足並みをそろえる給付付き税額控除を「本丸」とし、実現までのつなぎとして2年限定の消費税減税を想定する。二つの制度を並行して議論し、夏前をめどに中間取りまとめを行う早急な工程を描くが、衆院選で大勝した与党の数の力で押し切れると考えているのなら認識が甘すぎる。

 有識者会議では、財源確保や給付付き税額控除の支援対象の特定などを求める声が上がった。人手不足や財政難が進む中、介護福祉や年金などの維持に多くの国民が不安を感じている。日程ありきでなく、暮らしを安定して支える持続可能な仕組みの議論を深めなければならない。

 2012年に当時の民主党政権が野党の自民や公明と取り組んだ「社会保障と税の一体改革」では、消費税の使い道を社会保障に限定し税率アップもセットで議論した。少子高齢化は当時の想定を上回るペースで進む。政権与党が絶対安定多数の議席数を得た今こそ、国民の合意を得ながら政治的エネルギーを社会保障全体の見直しに注ぐべきだ。