米ホワイトハウスは、北京で行われたトランプ大統領と習近平国家主席との首脳会談の合意内容をまとめた成果文書を公表した。これで会談に関する米中の発表が出そろった。
目を引くのは、中国が提示した両国関係の新たな指針「建設的戦略安定関係」の構築を、米国が文書に盛り込んだ点である。米中は共同声明を出さなかったため、対中強硬路線を取ってきたトランプ氏がどう反応するかが注目されていた。
会談で習氏は指針について「適切な競争を伴う健全な安定、違いを管理できる持続的な安定、平和を伴う永続的な安定」を目指すと説明した。衝突のリスクを抑え、国際社会の平和に貢献を-との呼びかけと言える。中国が大国としての自信を深めていることがうかがえる。
中国が主導する形で両国は対話促進の姿勢をアピールした。貿易と投資を管理する委員会の設置でも合意した。現時点で実効性は見通せないものの、米中の関係安定化は日本にとってもプラスとなろう。
米国の文書には、中国による米国産農産物の購入拡大が明記された。秋に中間選挙を控える米側が何としても持ち帰りたい「土産」だった。大統領の岩盤支持層である農家は、米国が仕掛けた貿易戦争で打撃を受けているためだ。
一方、イラン情勢を巡っては両国がホルムズ海峡の開放を訴えるなど現状の再確認にとどまった。戦闘終結への交渉が行き詰まり、米国は中国が友好国であるイランに圧力をかけることを期待していたが、具体的な協力は得られなかった。
対する中国は、目先の実利を重視するトランプ氏から、米国による台湾への武器売却などで譲歩を引き出せるのではないかと期待を抱いていた節がある。中国外務省は台湾独立を絶対に容認しない中国の立場を米側が「理解した」と主張した。しかし、米国の文書に台湾問題への言及はなかった。
台湾は今や半導体生産の一大拠点である。今後、人工知能(AI)の開発競争や悪用のリスク管理が米中間の懸案となるだろう。台湾の重要性はさらに増す。日本は折に触れ米国に、台湾海峡の平和と安定を主軸とする現行政策の維持を働きかける必要がある。
9月には習氏が訪米する。これを含め年内に米中首脳会談が3回行われる可能性が出てきた。両国が対話の機会を持ち、欧州主要国が中国との関係立て直しに動く中、日本は隣国の中国とどう向き合うのか。
高市早苗首相は冷え込んだ日中関係の改善に踏み出すべきだ。国益を見据え、互恵関係の構築と深化にリーダーシップを発揮してほしい。























