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 政府が閣議決定した農業白書は、「令和のコメ騒動」の一因が農林水産省の対応にあることを政府自ら認める異色の内容となった。食料安全保障を担う官庁として、組織の在り方から問い直すべきだ。

 2023年産のコメの需要は訪日客による消費拡大などで増加に転じ、24年産も夏に発表された南海トラフ地震臨時情報を受けた買いだめなどで需要増が続いた。一方で生産量は減少が続いたため、23年産以降はコメ不足に陥った。

 ところが白書によると、農水省は人口減少などを背景に19~24年産のコメの需要は減少が続くとみていた。店頭でコメが不足に陥っても「マイナス・トレンドの継続を前提として需要を見通していたことから、生産量が足りていると認識していた」と弁明する。

 その結果、「流通実態の把握に消極的で、マーケットへの情報発信や対話が不十分」だったという。政府備蓄米の放出が25年と後手に回ったのも「不作時に放出するというルール」にこだわったためだ。

 長く続いた減反政策からは、官がコメの生産をコントロールすることで価格を保とうとしてきた農水省の体質がうかがえる。流通現場や消費者の視点に基づく政策立案が遅れたのはそのためだ。「生産量は足りている」との認識を実態に合わせて改めなかったのも、硬直した組織風土の表れと言える。

 白書ではこうした反省を踏まえ、需給見通しの算出方法を見直すなどの対策を示した。主食の確保は国民生活の安定に直結する。そのことを肝に銘じ、環境の変化に合わせて機動的に政策を打てる官庁へ変革を遂げなければならない。

 農水省の失態には、現在のナフサ不安に対する政府の対応が重なって見える。

 数多くの業種や消費の現場からナフサを使った製品の不足や高騰にあえぐ声が上がるが、政府は「総量は足りている」「流通の目詰まりが起きている」と繰り返すばかりだ。

 「足りている」のが事実ならなぜ不足や高騰が続くのか。政府はもっと現場に向き合い、不安を解消するための具体的な手だてを講じる必要がある。