急な入院、手術、高齢者施設への入所、葬儀や納骨、家財処分など死後の手続き…。独り暮らしの場合、どうなるのだろう。そういえば、取材を通じて「今は元気だけど、この先が不安」というつぶやきをよく聞いた。
私たちは、神戸市中央区の産業振興センターで開かれたある会合に出掛けた。一般社団法人の総会で会員の48人と、入会を検討中の14人が出席していた。
「私たちが家族の役割を担い、子どもの立場で一生涯お付き合いします」
「安心を届けるため、人生の伴走者になります」
代表理事の男性(50)がマイクを手に熱く語る。シャンデリアの下、テーブルには赤いクロスがかけられ、華やかな雰囲気だ。
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この法人は神戸に事務所を置き、入院や高齢者施設の入所時に必要な「身元保証人」になるほか、緊急時には駆けつけ死後の手続きも担う。
2016年に設立し、会員は11月末で115人。神戸と阪神間に住む人が大半だが、淡路や姫路にもいる。「8割以上は元気な人」だそうだ。
入会時には133万円が必要で、身元保証人委任料や葬送支援費などが含まれる。それとは別に月額2千~8千円と、更新料として年1回3万円を支払うという。来春には入会時の費用や月額会費の値上げが予定されている。
気軽に払えるような金額ではない。しかし、こういった身元保証サービスは全国で増えているそうだ。
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総会の会場で、私たちは昨年8月に入会した西宮市の80代女性に出会った。独身で、同居していた母は約30年前に亡くなった。その後はマンションに独りで暮らし、会社は60歳で退職した。
傘寿を迎えるにあたり、猛烈な不安に襲われたという。「ある朝、起きられなかったらどうなるのか。事故に遭ったらどうするのか」。いろいろと調べ、この法人にたどり着いた。
女性は私たちに「入会してから、夜、安心して寝られるようになりました。もしものことがあっても、24時間対応してくれる。入会に必要な133万円は高いとは思いません。私にとって最後のつながりなんです」と語った。
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