連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
取材班に送られてきた手紙
拡大

取材班に送られてきた手紙

取材班に送られてきた手紙

取材班に送られてきた手紙

 独り暮らしの人たちの終末期を連載してきた私たちの元に、読者から手紙やメールが届いています。その一部を紹介したいと思います。

     ◇     ◇

 兵庫県小野市の「篠原医院」院長、篠原慶希医師からは連載の開始直後に手紙が寄せられました。長年、終末期患者の在宅療養やみとりを支えてきた医師で、私たちはその日々をシリーズ第2部「家に帰ろうよ。」で連載しました。

 A4用紙2枚の手紙は「私は孤独死という言い方は暗い印象で良くないと感じ、『いわゆる』をつけます」と始まっています。

 そして「いわゆる孤独死の何がいけないのかと思います。寂しいもの、かわいそうだと捉えるのは他人の目線であり、本人は本当にそうなのでしょうか。好きな場所で静かに死んでいく、そのどこがいけないのでしょうか」と、私たちに問い掛けます。

 遺体を調べる検視の経験から、「風呂場の死、テーブルやトイレで座ったままの死、布団の中の死。発見が早かった人は皆、穏やかな死に顔です」とし、「いわゆる孤独死」の唯一の問題点として、死亡後の発見が遅れることを挙げていました。

 発見が遅れ、遺体が腐乱したりすることがないよう、「誰かが安否確認をする環境が必要だと思います」とありました。

     ◇     ◇

 独り暮らしの当事者からも手紙を頂きました。

 末尾に「播磨町の障害年金受給者より」と記した便箋には、「来年かぞえで60歳になる男です。母を亡くして1年6カ月になります。現在、一人、暮らしています」とあり、連載の感想として「読んでよく気持ちが分かります。私は今、一人ぼっちでだあれも、助けてくれない」と書かれていました。

 「不安は山ほどあります。体の不調、認知症、ひとりで生活している身には、自分の足で歩けなくなるのはこわいです」とつづったのは、生活保護を受給しているという神戸市の60代の女性です。

 子どもとはあまり連絡を取っていないと記し、「ある日こっそりと孤独死してるんじゃないかなと思う、今日この頃です。この先のこと…まるで見えないし、正直こわいけれど、ただ1日1日を過ごしていくしかありません」。

 4年前に夫と死別し、子どもはいるけれど独り暮らしという60代の女性から届いたメールには、「人生、死はいつでも訪れる。独り暮らしなんだから、孤独死も仕方がない。私自身はそれでいいと考えていました」との死生観が書かれていました。

 メールは「周りに悲しまれるのが嫌 ニコニコ笑顔で死んでいたい」と締めくくられていました。

 次回は最終回です。私たちがこの連載を通して考え、話し合ったことをまとめたいと思います。

2019/12/26
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 40%

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 34℃
  • ---℃
  • 20%

  • 34℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ