冬の風物詩「おでん」にインフレの風が冷たく吹いている。値段も手ごろで庶民の味として親しまれてきたが、ここ数年は食料品の幅広い価格上昇に直面する。その背景を探ると、日本経済が直面する物価上昇の多様な側面が見えてくる。

■26年連続1位の人気

 おでんは最も人気の高い鍋物だ。水産練り物大手の紀文食品の調査によると、昨シーズン(2023年9月~24年2月)に食べた鍋料理で最も多かったのはおでんで、58.9%の人が食べたと答えた。2位がキムチ鍋、3位がすき焼きだった。

 紀文食品は毎年、どんな鍋料理を食べたかを調査しているが、26年連続でおでんが1位だという。冬の国民食といっても良い料理だ。