広島県内で1000円で売られていたという中古物件(いずれも提供写真)
広島県内で1000円で売られていたという中古物件(いずれも提供写真)

「また家を買ってしまった。お値段1000円」。一軒家の写真とともにSNS上に綴られた不動産投資家の投稿が、注目を集めている。一軒家は広島県内にあり、屋根瓦が印象的な昔ながらの木造2階建て住宅。なぜ、この物件はこれほどまでに安いのか。そして、どんな人たちが賃貸するのだろう-。

■儲ける仕組みづくり

投稿したのは、広島県在住の34歳男性で、X名・ヨッシー工務店さん(@Summm80924889)。もともと造船の現場監督をしていたが、2019年に不動産投資を始めた。「最初は儲かりそうだな…という気持ちからでした。本を読んで勉強して、北九州でリフォーム方法も現場で学びました。仕組みさえつくれば何とかなると思いました」と話す。

手法は、中古物件を購入し、リフォーム後に賃貸するというもの。「購入物件はボロボロなものばかりですが、ワンパターンなリフォームですし、自分たちでやるので費用は20~30万円くらいです」

最初に買ったのは200万円の一軒家で、リフォームなどの初期費用が20万円。賃料は3万8000円で、5年で元が取れた。現在は広島県内28軒の戸建てとアパート9棟を所有し、家賃収入は年間2000万円を超える。物件情報は、不動産会社を直接訪問したり、近隣住民と会話したりして100万円以下の戸建てを探しているという。

■なぜボロボロ物件を購入するの?

そんな男性が9月上旬、Xに投稿したのが1000円物件。近所のおばあちゃんから教えてもらった。築年数は不明で、8年間ほど空き家だったそう。1階が5DK、2階が2部屋ある全7DKで、駐車場はない。屋内は廃れ、床は踏むときしむ。屋根材も緩んで隙間ができている状態だという。また、隣接には高低差の壁状の「擁壁」があるという。

「建築基準法の関係で再建築不可のため、建て替えはできません。擁壁が崩れた場合は所有者負担になります。持ち主にとっては、維持管理費や固定資産税なども掛かるので1000円になったんだと思います」と理由を推測する。

ではなぜ、これほどまでにボロボロな物件を購入したのだろう。聞けば、「立地ですね」と男性は即答。物件は広島県内の街中まで歩いて20分ほどの場所にあり、徒歩圏内にスーパーやコンビニがあるため、賃貸できる可能性があるという。

■賃貸相手の多くは生活保護者

男性によると、ほとんどの物件で家賃は3万5000~4万2000円あたりにしている。「借りてくれる人の多く生活保護を受けている方です。生活保護は住宅扶助費が定められているので、その金額に合わせて借りられるようにしています」と男性。「広島にはたくさんの空き家がありますが、リフォームを施せば競り合いから抜け出せます。生活保護の方も借りるんだったら、きれいな方がいいですよね。こちら側としてはウェルカムですし、生活保護の方は一度借りると、長く住んでくださる方が多いので、ありがたいです」

(まいどなニュース・山脇 未菜美)