仕事に必要な最低限のことだけを行う「静かな退職」は、周囲にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)が実施した「働く人の本音調査2025」によると、仕事量の増加など「不利益を被ったことがある」人が半数を超えた一方で、相対的に自分の評価が上がるなどの「恩恵を受けたことがある」と答えた人も一定数いることが明らかになりました。
調査は、従業員規模が50人以上の企業に勤める全国の25~59歳の正社員7105人を対象として、2025年3月にインターネットで実施されました。
調査の結果、全体の27.7%が「同僚や上司に静かな退職者がいる」と回答。そこで、「静かな退職をしている人がいる」人とそうでない人の心理状態を、「主観的幸福感(「非常に幸福」を10点、「非常に不幸」を0点として聴取)」を用いて確認したところ、「静かな退職者がいると感じている人」(6.07点)は、「いると感じない人」(6.41点)に比べて統計的に有意に幸福感が低いことが確認されました。
次に、「同僚や上司に『静かな退職』をしている人がいる」と回答した人を対象に、その影響について尋ねた結果、「不利益を被ったことがある」と回答した人が55.1%に上った一方で、「恩恵を受けたことがある」と回答した人も15.1%存在していることが明らかになりました。
これを世代別に見ると、30・40代では同僚や上司の「静かな退職」に不利益を感じた人が相対的に多く、20代では恩恵を感じた人が相対的に多いという結果が出ました。
「不利益を被ったと感じた理由」としては、「仕事量が増えた」(47.7%)、「モチベーションが下がった」(24.8%)、「組織の連帯感が低下した」(6.4%)などが上位に挙げられたほか、自由記述では「静かな退職者を部下にもつ上司としての負担」「静かな退職者を上司にもつ部下としての負担」といった声が寄せられています。
一方で、「恩恵を受けたと感じた理由」として最も多かったのは「相対的に自分の評価が上がった」(12.5%)で、「業務の効率化が進んだ」(10.4%)、「成長機会を得られた」(8.8%)、「モチベーションが上がった」(8.1%)という意見も挙げられ、自由記述では、主に同僚として「自分も適度に息抜きしようと思って気が楽になった」といった意見が目立ちました。