認知症の祖母は愚痴が多い(なかざわともさん提供)
認知症の祖母は愚痴が多い(なかざわともさん提供)

高齢の祖父母との時間は、何気なくもあり、かけがえのないものでもあります。イラストレーターのなかざわともさんが描いた漫画『祖母と、憧れのおばあさんの話』がSNSで注目を集めています。

作者の祖母は89歳で認知症を患っています。普段の会話では愚痴が多いけれど、「最近、デイサービスどうなの?」と話題を向けると、ぱっと表情が明るくなるのでした。祖母は、1年前から週2回デイサービスを利用しています。

もともと社交的な性格ということもあり、施設での交流はとても楽しい様子です。同じ話を何度も繰り返すことがあるものの、その内容が楽しいため、話を聞いている作者の気持ちも自然と和らぎます。

祖母は施設での“呼び名”について、他の人の名前が覚えられないため、知り合った利用者の人達を「おじいさん」と呼び、自分のことは「おばあさん」と呼んでもらっているそうです。そんな祖母は、ある“素敵な人”の話を始めます。

その人は祖母が言うには「90代なんだけど、キチンとしててねぇ。お化粧もして、スカーフなんか巻いちゃって!」とおしゃれな人らしいです。さらに、有名女子大の“T大”出身で、今も英語が堪能なのだそう。

祖母は戦争で父親を亡くし、高校卒業後すぐに実家の酒屋を手伝ったため、大学へ進学しませんでした。そのためか、同世代の「大卒の女性」に対して、どこか華やかなイメージを抱いているようです。

ただその人の魅力は学歴とおしゃれさだけではありません。祖母が言うには、全然偉ぶらないのも魅力だとか。女性が中国人スタッフに英語を教えてあげているというエピソードを、祖母は誇らしげに語ります。

そんな祖母の様子を見た作者は、何歳になっても「憧れ」とは若々しい感情なのだと実感しました。

読者からは「二度と戻らないあの頃が、とても恋しい」や「読んでて胸が温かくなりました」など祖母との何気ないやりとりに昔を思い出したなどの声が多く寄せられました。

同作について、作者のなかざわともさんに話を聞きました。

■その場の空気感や人物の雰囲気を漫画で再現

ー同作を描こうと思ったきっかけは。

デイサービスの話になるととても楽しそうに話すのが印象的で、漫画にしたいと思いました。

ー作品制作の際、大切にしていることや意識している点はありますか。

その場の空気感や、人物の雰囲気を漫画で再現できるよう心がけています。

(海川 まこと/漫画収集家)