20年以上前に撮った写真。愛犬の瞳の中に飼い主さんが写っていた(「ずっこ」さん提供)
20年以上前に撮った写真。愛犬の瞳の中に飼い主さんが写っていた(「ずっこ」さん提供)

「瞳の中に私がいる」…そんな一言とともに投稿された、1枚の写真が多くの人の心を揺さぶっています。

話題になっているのは、シェットランドシープドッグ(シェルティ)の写真。投稿したのは、シェルティのイラストやグッズ制作を手がける「ずっこ」さん(@zucco_sheltie)です。

写真は約20年前に撮影されたもの。モノクロで写る愛犬の瞳をよく見ると、そこにはカメラを構える“飼い主自身の姿”が映り込んでいました。

この投稿に対し、SNSでは

「犬の瞳の中にご主人が映ってるのって関係性が見えて素敵」
「あなたの心の中にもその子がいる」
「静かな幸せがあふれている」

といった声が相次ぎ、大きな反響を呼びました。

■「おばあちゃんなのに子犬みたい」思わず撮影した1枚

この写真が撮影されたのは、ずっこさんが大学を離れ、実家で過ごしていた頃のこと。当時は写真部に所属していた経験から、モノクロ写真を撮り続けていたといいます。

写っているのは、2代目の愛犬「マリ」ちゃん。すでに高齢だったにもかかわらず、サマーカットでまるで子犬のように見えた姿が「かわいすぎて」シャッターを切ったと振り返ります。

■「そこにいるのが当たり前」だった日常

マリちゃんとの出会いは、小学生の頃。祖父が突然犬を迎え入れたことがきっかけでした。

ペットキャリーもなく、助手席に座る母の肩に乗って帰ってきたというエピソードからも、どこかのどかな時代の空気が伝わってきます。

山に囲まれた実家では庭で飼われており、「リビングの大きな窓の外を見れば、マリがいる」そんな日常が当たり前でした。

元気いっぱいで、ジャンプして顔にぶつかってくることも。「鼻をやられて痛かったです」と笑いながら振り返ります。

■「恥ずかしくて飾れなかった写真」を表に出した理由

現在、ずっこさんはシェルティのイラストやグッズ制作を仕事にしています。

これまで作業場には初代犬の写真を飾っていましたが、今回話題となった2代目・マリちゃんの写真は、自分が写っていることもあり裏側にしまったままでした。

しかし、改めて写真を見返したことで気持ちに変化が生まれます。

「二代目も目の前に飾って、記憶とともにもっとシェルティを描こうと思った」

アルバムから写真を選び直し、表に飾ることを決意。カメラ目線で笑っているように見えるマリちゃんの姿は、今見ても「本当にかわいい、大好きな1枚」だといいます。

■「瞳の中に自分がいた」気づいた瞬間

SNSに投稿するためスマートフォンで撮影した際、初めて気づいたのが「瞳に映る自分」の存在でした。

「マリの視界に自分がいることに、喜びしかなかった」

その発見は、過去の記憶を一気によみがえらせる出来事でもありました。

■「申し訳なさ」と「ありがとう」が同時に込み上げて

一方で、当時の飼育環境については複雑な思いもあるといいます。

「今のペット環境とは真逆の生活をさせていたので、申し訳ない気持ちになる」

それでも…「学生時代、つらい時もそばにいてくれて、安心する存在だった」と語るように、マリちゃんはかけがえのない存在でした。

マリちゃんは14歳で亡くなり、17年が経った今もなお、多くの人から「かわいい」と言われることに、驚きと喜びを感じているそうです。

■時間を超えて残る「見つめ合った記憶」

1枚の写真に写っていたのは、ただの記録ではなく、「見つめる犬」と「見つめ返す人」の関係そのもの。そしてそれは、見る人の心にも問いかけます。

あなたの大切な存在は、どんなふうにあなたを見つめていましたか。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)