世の中には漫画家によって数多くの作品が生み出されていますが、決してひとりだけで完成させているのではなく“アシスタント”の協力が欠かせません。それではアシスタントは、どのような作業を担当しているのでしょうか。
漫画家のハルマキさんが手がける『ハルマキの為になるアシスタント小話』は、ハルマキさんのアシスタント時代の様子が描かれたエッセイ漫画です。以前ハルマキさんのX(旧Twitter)に同作のエピソード『なぜ君たちは年間200本以上も映画を観るのか!?』が投稿されると、6000を越える「いいね」が寄せられています。
プロの漫画家・ポン春田先生(以下、ポンタ)のアシスタントになって2週間が経った作者。作業中であってもポンタ先生を中心に何気ない会話が繰り広げられていましたが、背景を描くことで精一杯だった作者は話についていけません。
すると、ポンタ先生は「さぁ じゃあ何観よっかな~」と喋り出し、さらに別のアシスタントである外町さんに「『映画』選んで」と指示を出します。というのも、ポンタ先生は漫画を描きながら映画を観ようとしていたのです。
その後、作者は外町さんに「ちなみに何本ぐらい借りてきたんですか?」と尋ねたところ、「今週は7本ぐらいかな」と返答します。仕事が週4日と考えた場合、1日に約2本を鑑賞することになる計算です。
すでに作業で精一杯だった作者は“さらに映画を観るなんて無理”と思ったものの、“作業用BGVとして映像を流すに違いない”と思い直します。そんな考えを打ち砕くようにポンタ先生から「この仕事場 映画観終わったら それぞれ点数付けて見せ合うから」と伝えられるのでした。
ポンタ先生の宣告に絶望していた作者に「最初は大変だけど きっと慣れる」とフォローしてくれる外町さん。しかし、映画が再生されると、「画面をみると手が止まる」「耳からの情報が断片的すぎて展開についていけない」などの状況になってしまい、心の中で「いや ムーーリーーー」と嘆きます。
ようやく映画が終わった後、必死に鑑賞していた作者はゲッソリ。他人から映画の感想を聞くのは禁止のため、作者は5点満点中5点をつけます。その後にそれぞれが点数を公開して、ポンタ先生から順番に感想を発表していきます。そのどれもが理論的な感想で、作者は焦りを感じるのでした。
そして作者が感想を発表する番になったものの、「なんとなく面白かった」「映像もカッコよかった」という言葉しか述べられません。さらに今まで点数をつけたり、分析をしたりしたことがなかったことも伝えると、ポンタ先生は「全然良いんだよ!そういう観かたでも」と言った後に「今まではな」と締めくくります。
ポンタ先生いわく、漫画家になるのならば「なぜ面白かったか、なぜつまらなかったかを言語化できなければいけない」「感覚でやってしまうと上手くいった時の理由が分からないから再現性が落ちる」など持論を展開。さらに漫画を描いていると「アウトプット」ばかりになるので、映画をみることで「インプット」させる狙いがありました。
ポンタ先生の助言によって新たな気づきを得た作者は、「だからこんなにも映画を観るんですね」と腑に落ちた様子。そして、2カ月後、作者は映画鑑賞後に、ある程度の“感想の言語化”ができるようになり、ポンタ先生にも「少しは言葉に出来たじゃないか」と褒められるのでした。
読者からは「感性を磨いたりするのにタメになる話」「これから真似してみよう」などの反響が。そこで作者のハルマキさんに、同作について話を聞きました。
■「描いてて難しくも気持ち良くもありました」
-同作を描いた経緯を教えてください。
アシスタント時代に色々教わった中でも、何か人に届けるものを作るってなった時の基礎となる考え方で凄く勉強になったので、それを面白おかしく描いてみたいと思いました。
-作中で、特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。
「映画をどういう見方をするのも自由…今まではな!」ってこの辺りで、それまでずっと疑問で混乱してた僕に、このタイトルの答えが全部分かっていくところが描いてて難しくも気持ち良くもありました。
-『ハルマキの為になるアシスタント小話』を描いたきっかけもぜひお聞かせください。
大した人生経験がある訳ではないのですが、その中でアシスタントをしていた経験は貴重かなと。だったらその現場の雰囲気やどんなことを教わったなど面白く少しはためになるよう描けたらなぁと考えました。
(海川 まこと/漫画収集家)
























