青春パンク系アイドルとして活動するBLUEGOATSのほんま・かいなさん(撮影:鈴木大すけ)
青春パンク系アイドルとして活動するBLUEGOATSのほんま・かいなさん(撮影:鈴木大すけ)

「推し活してる人、全員異常者」

そう問題提起したのは、地下アイドルシーンで活動するBLUEGOATSのほんま・かいなさん(@kaina_aoyagi)。

グッズが届かないケースや、会場の収容人数を超えてチケットを販売した結果ライブが見られないといったトラブルに疑問を呈した投稿は、SNSで大きな反響を呼びました。

ファン心理につけ込む業界のあり方に警鐘を鳴らした今回の発信について、本人とプロデューサーに投稿の経緯や思いを聞きました。

ーーこの投稿を行ったきっかけを教えてください。

ほんま・かいな:SNSを見ていて、推し活をしている人って異常にお金を使うなと感じることが多くて。本来は自分のためにやっているはずの推し活なのに、気づいたら「喜ばせたい」とか「支えなきゃ」にすり替わっている人も多くて、その気持ちにつけ込んだ活動者や運営がいることに「みんな大丈夫?」って思ったのがきっかけです。

ーー普段アイドルとして活動されていますが、この現状をどう感じていますか?

ほんま・かいな:ファンの方にたくさんお金を使ってもらいたい事情は、理解できる部分もあります。

でも、ファンの方の気持ちにつけ込んだ行動は許せないし、ファンファーストであるべきだと思っています。

ーーほんま・かいなさんの考える「ファンファースト」とは?

ほんま・かいな:ファンの方が欲しいものだけを買って、それに満足できている状態が一番健全だと思います。いらないものまで買わされるのは違う。今は過剰に物が動いている感じがしていて、CDやグッズに付随する特典欲しさに無理に購入する人もいると思うんです。本来は「その作品が好きだから」という理由でお金を使うものだと思うんですけど、特典をつけて売る形が当たり前になってしまっていて。「欲しいものだけ買ってね」と言うだけでは成り立たない部分があるのも事実だとは思います。

ーーご自身の活動の中で「これはやりたくない」という線引きはありますか?

ほんま・かいな:例えば、クラウドファンディングやチケット購入特典として「何万円以上使ったら1時間デート」といったことはやりたくないなと思っています。メンズ地下アイドルの界隈だと、金額の規模が本当に大きくて、何十万円単位の話になることもありますし、借金をしたり、身体を売ったり、行き過ぎた形になるケースもあると聞きます。

女性アイドルの場合はそこまで極端ではないにしても、「チケット100枚でデート特典」など、似た構造はありますよね。運営の都合に振り回されているように見えることもあります。

ーープロデューサーさんはどんなお考えですか?

プロデューサー:エンタメって不要不急のものじゃないですか。グループの方針として「すべてのエンタメは無料であるべき」という考え方があって、いいものを作って楽しんでもらえたらそれで満足であって、その対価としてお金を求めたいわけではないんです。

ーーかいなさんはその考えをどう受け止めていますか?

ほんま・かいな:プロデューサーの影響は大きいですね。学生の方とか、どうしてもお金に余裕がない人もいるじゃないですか。そういう人にも、お金を払わなくても楽しんでもらえるグループでいたいなって。

実際に「お金がなくてライブに行けなくてごめんね」とファンの方に言われることもあるんですけど、そのために無料で楽しめるYouTubeチャンネルもあるし、入場料が安いライブを作っているので、色んな形で楽しんでもらえたらいいなと思っています。搾取するのとは違って、「払いたい人が払う」くらいのバランス。払いたい人は喜んで払ってくれると思うし、自分を犠牲にしてまでお金を使うような形は違うと思います。

ーーファンの数も限られている中で、地下アイドル業界は特にマネタイズに必死になっている現状もあると思います。世のアイドル運営にはどうあって欲しいですか?

ほんま・かいな:そんなにお金欲しいならアルバイトすればいいと思います。ファンの気持ちにつけ込んで金稼ぎをするな!といいたいです(笑)。

私自身も正直、アイドルとして大金を稼ごうという野望はないんです。死ぬ時に持って行けないじゃないですか。将来寝たきりになったとしても困らないくらいの思い出の方が欲しいです。

ーー今回の発信は、現状を変えたいという思いなのか、それとも気づいてほしいという思いなのでしょうか。また、変えていくために何ができると考えていますか?

ほんま・かいな:正直、この状況を無理に変えたいという気持ちはなくて。「こういう意見もあるよね」というのを知ってもらいたいという気持ちの方が強いです。自分たちが目標に向かって大きくなっていく中で、「このスタイルでも成り立つんだ」と伝わっていけば、それが一つの選択肢になると思うので。その上で、推し活業界のスタンダードを新しく作っていきたいという思いはあります。

売れたいから業界の常識に乗る、ということではなくて、時代を作る側でいたい。「ファンって頑張るものじゃない」ということを知って欲しいです。

◇ ◇

推し活のあり方に一石を投じた、ほんま・かいなさん。自分たちのスタイルを貫きながら、ニュースタンダードを示そうとする姿勢が、これからの推し活シーンにどのような変化をもたらすのか注目されます。

(まいどなニュース特約・青島 ほなみ)