「私は50代です」--フリルやリボンがあしらわれた華やかな装いの写真とともに、そんな一言が添えられたXの投稿が5万件を超える“いいね”を集めています。ロリータファッション界隈でたびたび議論になる「年相応の格好をすべき」という声に対し、大人向けの少女趣味をコンセプトに掲げるブランド「PINK HOUSE」を50代で着こなす自身の姿で応答した形です。「ファッションに年齢制限はない」と多くの共感が寄せられました。
投稿主は、アンティーク着物ブロガーとしてファッションについて発信している、あすかさん(@asukawwide1225)。投稿された写真では、石造りの壁と赤い扉を背に、あすかさんが凛とした立ち姿を見せています。真っ白な大きな襟に段になったフリル、腰元の黒いリボン、ティアードのロングスカートを合わせたモノクロのコーディネート。甘さのあるアイテムを黒で引き締め、50代ならではの上品さが際立つ装いです。
今回の投稿であすかさんは、「ロリータ界隈では年相応の格好をしろという意見に物申すが流行っておりますが…」と切り出し、日本にはロリータファッションが定着する前から「PINK HOUSE」があり、「50代・60代の着用者も普通にいますよ」と綴りました。
この投稿をした背景について、ロリータファッションは若い世代の愛好家が多い一方で、40代以上の愛好家も一定数いることから、「年相応の格好をすべし」と年齢を理由に制限を促すような論争がたびたび起こることが気になっていたといいます。
「そもそも日本には、ロリータファッションが広く定着するよりも前から、『大人のための少女趣味』をブランドコンセプトに掲げた『PINK HOUSE』が存在していました。厳密にはロリータとは異なるジャンルですが、見慣れない人には同じように映ることも多い。そんな『PINK HOUSE』に40代・50代・60代の愛好家が今も根強くいるという事実こそが、『この系統のファッションに年齢制限はない』という何よりの証だと思い、例として紹介しました」
1980年代には世の中でブームとなっていた『PINK HOUSE』。あすかさんが着始めた90年代になると、オタク気質の女性がコミックマーケットなどの同人誌即売会で着るものというイメージが世間では強く、あすかさんも実際にそうした場でしか着ている人を見かけなかったそう。一方で、当時モデルをしていたあすかさん自身は、衣装として用意される機会が多かったといいます。
「当時は特別興味はなく、自分で買い求めることもありませんでした。でもモデルをやめて着る機会がなくなると、『あの服が衣装として用意されていたということは、あの服が自分にはよく似合うということなんだ』と思うようになり、自らお店に通うようになって一気にハマっていった感じです」
こうして20代の間は「PINK HOUSE」を存分に着て、可愛い服を散々楽しんだという、あすかさん。
「可愛い服には満足したので、30代で着物に移行してからは遠ざかっていました。ところが昨年、リサイクルショップで20代のころに着ていた服と同じ柄のアイテムを偶然見つけたんです。『50代の今なら、可愛い系ではない着こなしもできるのでは…』と感じ、再び袖を通すようになりました」
あすかさんは、大人の女性がロマンティックな服を上品に着こなすには「若い人と同じようなヘアメイクをしないことに尽きる」といいます。
「若い人と同じヘアメイクをすると、かえって年齢が際立ってしまいます。上品な服やヘアメイクは、日々のふるまいが伴ってこそ映えるもの。上品さを目指すなら、まず言葉遣いをきれいにするところから始めると、見た目の印象も随分と変わってくると思います」
とはいえ、こうした装いで外出しても、意外と周囲からは「全くと言っていいほど何の反応もありません(笑)」と笑います。
「一昔前ならジロジロと見られたような格好でも、今は多様性なのか、あまり気にしていないというか、他人のファッションは目に入っていない人が多いように感じます。とくに都内では、それが顕著に出ているように思います」
「年相応」という言葉に悩む人に対して、あすかさんの考えははっきりしています。本当に好きな服がある人は、年齢に関係なくなんとかして取り入れるもの。「年相応」は、実は飽きた服を手放す口実に使われることも多いのではないかと感じているそうです。
「大切なのは、今の自分が何を好きで何を着たいのかを知ること。それを一番よい状態で着るにはどうすればいいかを考えて、一つ一つそろえていけば、"年相応"ではないかもしれないけれど"自分相応"な着こなしが完成します。そうなれば、誰に何を言われても気にならなくなると思います」
今回の投稿には大きな反響がありましたが、「辛辣な意見もあるかと思っていたので、好意的なコメントばかりで驚きました」と振り返ります。投稿にはファッションへの共感だけでなく、「PINK HOUSE」や「INGEBORG(インゲボルグ)」を懐かしむ声も多く寄せられました。
「皆さん、私の着姿ではなく、ご自分が『あの服が好きだった』という80年代の懐かしい話をされていて、読んでいて心温まるものでした。追憶スイッチになれたようで、よかったと思います」
あすかさんは最後に、自由な装いを楽しみ続けるために大切にしていることを教えてくれました。
「生きている限り年は取りますし、今後自分がどのように変化していくかもわかりません。その都度、自分と相談しながら、その時の自分が『素敵』だと思ったものを自分なりに取り入れていきたいと思っています」























