部下を追い詰める言動があっても、パワハラではなく「指導」として見過ごされてしまう職場は多く存在するでしょう。漫画家の吉谷光平さんが描く漫画『今どきの若いモンは』からの抜粋エピソード『パワハラを断じて許さない課長の話』は、そんな職場の闇に鋭くメスを入れる作品です。
物語は、家入店長が部下の前田と対峙する緊迫した場面から始まります。自らの夢を追いかけるため退職を希望している前田に対し、いつもは厳しく前田を叱責していた家入は、意外にも必死に引き止めにかかります。その裏にあるのは部下への愛情ではなく、自分の評価を下げたくないという醜い保身でした。
しかし、どれだけ引き留めても考えを変えない前田に対し、しびれを切らした家入は態度を急変させ「お前にいくらかかってると思ってんだ!」と前田に罵声を浴びせるのでした。その瞬間、2人の会話に割って入るように家入の上司である恵比寿課長が現れます。
恵比寿は「お二人に少々お聞きしたいことがありましてね」と言い、まずは前田と別室へ移動しました。残された家入は、前田が退職することで自分の評価が下がるのではないかと危惧しつつも、自分のこれまでの成果が認められ出世するのではと身勝手な期待を膨らませます。
やがて戻ってきた恵比寿から家入に告げられたのは、人事部への異動でした。本社勤務だと思い喜ぶ家入に、突きつけられたのは「不動産人事部係長への異動、パワハラによる降格・減給処分」という厳しい現実です。
理由を聞く家入に対し、恵比寿は「この数年間の離職率が平均の約2倍という異常な数字」であることや「調査した結果、前田を追い込んで辞めさせるつもりだったという録音データを手に入れた」ことを淡々と語ります。
それでも納得できない家入は、「出来損ないの新人なんていくら辞めさせたって良いじゃないですか!」「昔はもっと厳しかった」「そんなの常識だったじゃないですか~!」と必死に抵抗します。そんな家入に対し、恵比寿は「昔は昔、今は今」と一蹴し、「あなたの行為は成果を挙げるどころか人の人生を潰し会社を潰す悪行でしかないんですよ」と断言するのでした。
同作について、作者の吉谷光平さんに話を聞きました。
■変わりゆく現代の職場環境とは
ー前田さんがパワハラをしていた店長を庇っていた理由について、吉谷さんはどのように考えますか?
前田にとっては、「自分も成績が悪い」という引け目や罪悪感があったのだと思います。だからこそ、店長の行動にも一定の理解を示してしまい、擁護するような形になったのではないでしょうか。
ー作中で語られる「昔はこれが当たり前だった」とありますが、実際に吉谷さんが経験されたことはありますか?
はい。もうちょっとハードな経験があります(笑)
ー現在の職場環境において、パワハラの問題はどのように変化していると感じていますか?
今は上司サイドがハラスメントを過剰に気にするようになり、部下に対して「何も言わない」ようになっていると感じます。
(海川 まこと/漫画収集家)























