足立雅樹署長から署長感謝状を受け取る橋本沙織さん=明石署
足立雅樹署長から署長感謝状を受け取る橋本沙織さん=明石署

 市内で多発する特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、兵庫県警明石署は市内の銀行員やコンビニ店員、郵便局員ら計8人に署長感謝状を贈った。ATMの順番待ちの列に並んでいた際、電話をしながら操作する高齢者に気づき、被害を食い止めた人もいた。このうち、高齢の顧客宅を訪問中に被害を防いだ三井住友信託銀行明石支店の橋本沙織さんのケースを紹介する。(新田欧介)

■明石署が8人に感謝状

 3月中旬、契約相談のため、橋本さんが顧客の高齢男性宅を訪れた時のことだった。机上の固定電話に証券会社の社員を名乗る人物から電話がかかってきた。最初の通話はすぐに終わった。1分もたたないうちに、今度は男性の息子をかたる男から電話がかかってきた。普段、息子と通話する際に男性が携帯電話を使うことを知っていた橋本さんは、この時点で不審に思ったという。

 その後、再び証券会社の社員を名乗る男から電話があり、「納税遅れ」「いつまでに持って来られますか?」などの言葉が漏れ聞こえてきた。橋本さんは思い切って、「その証券会社の方と直接お会いしたことはあるんですか」「最近詐欺がはやっているので、一度息子さんに携帯で確認してみませんか」と男性に優しい口調で声をかけた。男性が息子と電話で話したことで詐欺が判明した。

 息子をかたる男は「投資で得た利益が大きくて自分の口座で受け取れないからお父さんの口座で一部を受け取ってほしい。すぐに担当の人から電話が入るから」と説明。証券会社社員を名乗る男は「あなたの息子が投資で得た利益を納税しておらず、早く現金で払わないと逮捕される」と言って、男性をATMへ向かわせようとしていたという。

 同支店では定期的に同署員を招き、詐欺を水際で防ぐためのロールプレイ形式の訓練や、最新の手口を支店全体で周知するなどしている。足立雅樹署長から感謝状を受け取った橋本さんは「怪しいと思った後の初動の声かけの大切さを実感した。もし怒られたとしても勇気を出して声をかけ、金融機関に勤める者としてお客さまの資産をお守りしたい」と語った。

 他に感謝状を受け取ったのは、日新信用金庫明石駅前支店の濱本亜園さんと森川柊奈さん▽ローソン明石鳥羽店の田中美里さん▽明石朝霧郵便局の羽渕陽子さんと濱田裕仁さん▽ローソン明石住吉二丁目店の中山愛子さん▽匿名希望の女性-の7人。