そういう意味じゃない! ©たかせうみ/秋田書店
そういう意味じゃない! ©たかせうみ/秋田書店

ポジティブ思考は大切ですが、場合によっては悩みを引き起こす原因となるかもしれません。漫画家・たかせうみさんの作品『部下がポジティブで泣きたい』第1話は、指導担当の上司と新入社員の新人教育について描いた物語です。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、238万回以上も閲覧されました。

36歳のOL・霧ノ宮は、すべての情熱を会社にそそぐ会社員です。彼女が勤める『こやぎ商店』は小さな会社のためほとんど社員の入れ替わりがなく、今回入ってきた新入社員の嵐山が霧ノ宮にとってはじめての新人教育相手となりました。しかし、この嵐山こそが波乱の元凶のようで、今日もうっかり先方の会社名を『ウンココミュニケーションズ』と聞き間違えてしまいます。

その後、霧ノ宮に平謝りする嵐山。霧ノ宮は「先方も笑って許してくださって逆にあなたを覚えてくれたみたいだけど」というと、嵐山は「本当不幸中の幸いでした!ミスもしてみるもんですね☆」と笑顔で返します。この言葉に耳を疑う霧ノ宮でしたが、嵐山は悪い子ではないため、この『変なところでポジティブ』を注意するべきかどうか悩みます。

霧ノ宮は、他のことに関しても嵐山に指導をおこないますが、まさにのれんに腕押しといった感覚で「がんばって教育したところで全部無駄だったり…」と考えるようになります。

ある日、嵐山は「お客様から電話があったらすぐに知らせてほしい」と霧ノ宮からお願いされます。そんな嵐山のもとに電話がかかってきますが、先方が一方的にしゃべり続けるためうまく聞き取れませんでした。

嵐山はひとまず霧ノ宮に取り次ごうとするものの、ほかのトラブルが入りすっかり電話のことを忘れてしまいます。帰社後、霧ノ宮に先ほど電話をしてきた先方から、再び電話がかかってきて「契約は今月いっぱいで解約させてもらうわ」と一方的に怒られてしまうのでした。

先方の会社は、霧ノ宮がいちから信頼を築き上げてきた取引先だったため、嵐山に強く怒ります。霧ノ宮は、またポジティブな言葉で切り返してくるのではないかと考えていましたが、嵐山は「取り返しのつかないことをしてしまって申し訳ありません…!」と涙をこらえて訴えました。

彼女の様子に、霧ノ宮は逆に感情的に怒ってしまったと謝ります。嵐山は「ご自分のこと否定しないでください、悪いの全部私ですよ…!?」とフォローするのでした。

先方にはあらためて謝罪に行くしかないと考えた霧ノ宮でしたが、それに対して嵐山は「これで本当に契約解除になるならそれまでのご縁!ってことですもんね」と笑顔で答えます。これに対して「そこまで言ってない…」と呆れながらつぶやいた霧ノ宮は、やはり嵐山は規格外のモンスターかもしれないと考えるのでした。

読者からは「嵐山さんの考え方がおもしろすぎる」「このポジティブさうらやましい!」などの声があがっています。そこで、作者のたかせうみさんに話を聞きました。

■嵐山さんはあくまで真面目で一生懸命で前向きな子

-同作を描いたきっかけについて教えてください

もともと自分の中に「ポジティブって世間ではいいこととして扱われるけど、ポジティブすぎるのは考えものだよね?」という思いがありました。そこに、当時考えていたオフィスものの企画を担当さんと相談しながら組み合わせて、今の形になりました。

-ポジティブすぎる嵐山さんを描くにあたって、気を付けている部分や意識した部分はありますか?

最初は「ポジティブすぎる」の塩梅がすごく難しかったです。描き方によっては、突拍子もない行動をするおかしな人みたいになってしまうので、そこは担当さんと気をつけながら、あくまで真面目で一生懸命で前向きな子なんだ、というところを意識して描いていました。

-霧ノ宮さんや嵐山さんが在籍するこやぎ商店の今後が気になる展開でした!

ありがとうございます!現在コミックス第1巻が発売中です。巻末の描き下ろし漫画に加えて、コミックス本体の表紙にもイラストや漫画を描き下ろしました。読んでいて楽しい一冊になるよう、いろいろ詰め込んでいます。

「明日会社行くのちょっとだるいな」と思う日や、新人さん・後輩さんとの関わりに少し疲れた時などに、ぜひ読んでいただけるとうれしいです!

(海川 まこと/漫画収集家)