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阪神大震災で被災した神戸市灘区のマンションで、臨時総会で決められた建て替え決議に反対する住民が二十八日、マンション管理組合を相手取り、「決議は区分所有法で定められた要件を欠く」として、決議の無効確認を求める訴えを神戸地裁に起こした。被災地のマンションの建て替え決議をめぐり、訴訟が起こされたのは初めて。
訴えたのはマンションの住人ら十人。原告らによると、マンションは十二階建てで三棟計百七十八戸で一九八〇年に完成。震災で一部の棟の柱に応急補強の必要な損傷を受けたほか、壁に亀裂が入ったり、高架水槽が壊れたりした。
同マンションは、以前からあった管理組合の理事会メンバーを増やして対応策の協議を続け、今年一月、区分所有法に基づき建て替え決議を諮る臨時総会を開催。建て替え費として約三十九億円を試算していることなどを提示し、賛否を採った。その結果、総戸数百七十八戸のうち、全体の五分の四を超える百四十八の賛成で建て替えが決議された。
しかし、原告側は同法で定められた建て替え決議の前提として、補修で現状を維持、回復するには「過分な費用が要するに至ったとき」にされていると指摘。
また昨年九月の臨時総会で補修費として約十一億円が提示されたが、今年一月の決議の席上では、補修費が示されていなかったことなどから、決議の「無効性」を訴え、「今回の被災状況では、建て替えが必ず必要となる被害でなく、補修で十分可能。決議のための区分所有法の要件を満たしていない」と主張している。
一方、訴えられた組合理事長は「訴状が届いておらず、内容を確認していないのでコメントできない」としている。
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