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復興市街地再開発事業が進められている新長田駅南地区(神戸市長田区)の一部街区で、六日午前、同事業の対象六地区では初めての起工式があった。住民や市の関係者約百三十人が集まり、黙とうに続いてビル工事着手の式典が行われた。
再開発ビルの着工にこぎつけたのは、同地区(二十ヘクタール)の北西部にある日吉町二丁目第一工区約二千七百平方メートル。公園の跡地の一部と市の先行買収地に、公的賃貸住宅百四十戸が入る十二階建てビルが建設される。
日吉町二丁目には震災前約五十世帯が住み、工場や店を経営していたが、震災で大半が焼失した。建設の始まる賃貸住宅には、住人の約四割を占める借家人や、市に土地を売った住人らが最優先で入居。さらに二丁目以外の同地区内で土地買収に協力した住民らも入居するという。
式典では、まず震災で亡くなった人のめい福を祈って一分間の黙とうが行われた。地元まちづくり協議会世話人の山本博さん(73)が「当初は市の一方的な進め方に反発する意見もあったが、住宅建設が最優先と議論し、まちづくり提案をまとめた。行政とコンサルタント、われわれ住民とが一体となって、この日が迎えられた」と式辞を述べた。
戦後五十年間ずっと地区内の借家で暮らし、被災して北区に避難している吉田竹一さん(87)は「ここは便利で、知り合いもいる。帰る家ができるのを心待ちにしています」と、ほっとした様子だった。
一方、日吉町二丁目の第二工区には分譲住宅、店舗など九十九戸が入る七階建てビルが建設される計画。建物や土地の資産評価額などで、土地所有者、借地権者と市の交渉が続いている。
復興市街地再開発事業は、震災の被害が大きかった駅前などの密集地を対象としており、六甲道駅南、西宮北口駅北東、宝塚駅前第二工区など六地区で進められている。
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