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阪神大震災の被災者が暮らす兵庫県内の仮設住宅で、一人暮らしの住人がだれにもみとられずに亡くなる「孤独死」が百五十人になったことが一日、兵庫県警の調べで分かった。男性の死者が女性の二倍を超え、四十・六十歳代の壮年男性が八十六人と過半数を占めた。長期にわたる仮の生活からのストレスやアルコール依存症との関係が指摘されており、抜本的な対応が求められている。
同県警によると、孤独死は一昨年に四十六人、昨年七十二人、今年は四月末までに三十一人が発見された。さらに一日、神戸市須磨区の仮設住宅で、五十五歳の男性が遺体で発見され、累計で百五十人を数えた。百五十人には、待機所での死者一人も含まれている。内訳は神戸市が百三人と多く、西宮市十九人、尼崎市十人、加古川市六人、芦屋市、伊丹市各四人、明石市、三木市、姫路市、津名郡が各一人。
男女別では男性百八人、女性四十二人。年齢では六十歳代が最も多く五十六人。以下、五十歳代三十三人、七十歳代二十三人、四十歳代十八人、八十歳代十四人、三十歳代四人、九十歳代以上二人と続いている。死因別では、自殺が九人、事故死が四人いたが、他はすべて病死だった。
兵庫県の監察医を務める上野易弘・神戸大医学部助教授の調査によると、孤独死は、中年男性の肝疾患による死亡が目立つ。男性の死者のうち四十歳代から六十代が八割を占めたが、この年齢層の三割以上はアルコール性肝疾患による死亡という。
林山朝日診療所(神戸市長田区)の粱勝則医師は「仮設住宅は力のある人から抜けており、孤独死の危険性が高い人の数は今も変わらない。壮年男性は高齢者に比べて自分からSOSを発することも少ない。アルコール関連死は、栄養失調で衰弱して突然死に至るので、行政は配食サービスと組み合わせた巡回活動なども考えていくべきではないか」と指摘している。
兵庫県内では現在、約三万四千六百戸の仮設住宅に、約六万二千人が入居。六十歳以上の高齢者が四割以上に上るとみられ、自治体、ボランティア団体、自治会などが訪問活動を行っている。
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