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阪神・淡路大震災の2カ月後、貝原俊民知事に復興戦略ビジョンを報告する新野幸次郎さん=1995年3月30日、兵庫県庁
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阪神・淡路大震災の2カ月後、貝原俊民知事に復興戦略ビジョンを報告する新野幸次郎さん=1995年3月30日、兵庫県庁

 「『復旧』ではだめだ。災害に強い都市を」。そう語り、民間の立場から阪神・淡路大震災からの復興計画立案を主導した新野幸次郎さん。「創造的復興」の理論的支柱として提言を続けた。ともに復興に関わった関係者は「あらゆる分野で未来を見据えていた」とたたえた。

 「現代の都市を抜本的に見直そうとした人」。新野さんの学長時代に神戸大教授として在籍し、震災の復興検証など数々の専門家会議で顔を合わせた室崎益輝・兵庫県立大教授は振り返る。

 温厚だが、行動力もあった。自然災害で被災した住宅の建築や補修に備える県住宅再建共済制度(フェニックス共済)の意義を伝えるため、先頭に立って三宮・センター街を行進した姿が脳裏に焼き付いている。「震災復興に大きな道筋を付けたのは官の貝原(俊民・前兵庫県知事)、民の新野。大きな一ページが終わったという思い」

 新野さんが長く理事長を務め、政策提言を続けた神戸都市問題研究所は2018年3月に解散。新野さんは同年10月発行の機関誌「都市政策」の最終号で「市民の安全・安心を基本にして万全の準備をすることが望まれます」とつづった。

 神戸大の同窓会「凌霜会」理事長の後任を務め、さくら銀行(現三井住友銀行)会長や神戸商工会議所副会頭を歴任した高崎正弘さん(85)は「学界、政財界の幅広い役職を引き受けられ、お世話になった人は数え切れない」。病院の見舞いはコロナ禍でかなわず、今夏に手紙を受け取った。「母校や同窓会の将来を気に掛けておられたのが忘れられない」としのんだ。

 神戸市の久元喜造市長は「復興の過程において並々ならぬご尽力をいただいた。深く敬意を表します」とコメント。兵庫県の井戸敏三知事は「自助・共助の重要性を説かれ、その理念が全国初のボランタリー活動条例や参画・協働条例として実を結んだ」と評した。(竹本拓也、佐伯竜一、初鹿野俊)

2020/12/17
 

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