記事特集
「1・17のつどい」は神戸・三宮の東遊園地であり、竹や紙の灯籠でかたどった「がんばろう 1・17」の文字が浮かび上がった。
神戸市東灘区で長女の桜子さん=当時(6)=を亡くした加賀翠さん(65)が遺族代表として出席。新型コロナの感染防止のため、加賀さんや久元喜造市長のあいさつは中止され、市ホームページに「追悼のことば」が掲載された。
市などが混雑する早朝の来場を控えるよう呼び掛けたため、午前7時までに訪れた人は昨年より約5千人少ない約2500人だった。(長谷部崇)
■遺族代表のことば(要旨)
「チビちゃん」こと、娘・桜子と楽しんだクリスマスにお正月、豆まき、ひな祭り。誕生日から半年目にあたる4月6日には桜の下で写真を撮りました。毎年、その花が無くなるころまで寂しさが募ります。
あの日は急に突き上げられて落ちたと思ったら、たんすとワゴンの隙間に閉じ込められ、ドンドンという大きな縦揺れ。地震だと分かりました。近所の人に窓を破ってもらい、外に出ると、何軒もの家が倒れ、道はふさがれている。血の気が引きました。
父、母、桜子は屋根の下敷きで、隙間から「チビ、やられたかもしれない」と父の声が聞こえました。私は近所の人に助けを求め、お向かいの車に綱を付けて屋根を引っ張ると、一番に桜子が出てきました。
「まだ温かい」。病院へ運んでもらったのは午前7時ごろ。同じころに運ばれた隣のご主人の訃報が入ったのが午前11時ごろでした。「まだ連絡がないので桜子は助かったかも」と望みをつなぎ、近所の方々の救出を手伝ったり、知り合いの被災状況を聞きに行ったりしていました。夕方に桜子は駄目だったことが判明し、気力をなくしました。
チビちゃんはとても優しい子だったよね。震災後、幼稚園の先生から「転校して来た子に最初に声をかけてあげるのは、いつも桜子ちゃんだった」と聞きました。近所の人から「街の太陽だった」と言われました。いつもにこにこして、私が悲しそうにすると、心配してくれたよね。だから私も泣かずに、桜子のような笑顔を心がけています。
父が亡くなってから、桜子はほとんど夢に出てきてくれません。じいちゃんと夢に出てきてください。32歳になった姿を見たいです。そして今、世界中が大変な中、私たちを見守ってください。
■追悼のことば 久元喜造・神戸市長(要旨)
阪神・淡路大震災から26年がたちました。震災により亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。
新型コロナの感染が拡大し、緊急事態宣言が発令される中で1月17日を迎えました。震災の教訓をどのように次の世代に継承していくのか、大事な課題になっています。
神戸市では引き続き追悼行事を続けていきます。(無料通信アプリ)LINE(ライン)を活用した災害情報共有訓練など、若い世代も参加しやすい訓練を行います。「しあわせ運べるように」を2番目の市歌に指定し、音楽という形でも震災の経験を継承していきます。防災、減災、安全、健康などの分野で、他の都市や地域に貢献する都市であり続けます。
■阪神・淡路大震災
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