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街の再出発から20年がたつ鷹取商店街で話をする小林延行さん(中央)ら=神戸市長田区若松町11
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街の再出発から20年がたつ鷹取商店街で話をする小林延行さん(中央)ら=神戸市長田区若松町11

 阪神・淡路大震災で火災に見舞われた「鷹取東第1地区」(神戸市長田区)の復興土地区画整理事業が完了し新たな街ができて、来年2月で丸20年を迎える。長屋が軒を連ねた下町から、広い道路と新たなビルや住宅が並ぶ街へと変わった。それから20年後の街では、復興を担ってきた人たちの次の世代が、地域の在り方を模索し続けている。(高田康夫)

 同地区はJR鷹取駅東側の約8・4ヘクタール。震災でほとんどの家屋が全焼し、905世帯2051人のうち約90人が亡くなった。1995年11月に事業計画が決定し、行政主導の復興土地区画整理では最も早い2001年2月に完了した。

 「事業完了は気持ちの上で区切り。新たな挑戦が始まるという思い」

 地区の中心にある鷹取商店街で20年前、取材にそう語っていた洋品店経営の小林延行さん(59)は、今年春から商店街振興組合の代表を務める。父の伊三郎さん(故人)は鷹取東復興まちづくり協議会会長として住民の意見をまとめ、市との交渉に臨んできた。

 木造の長屋に商店、市場が入り組む下町は、区画整理できれいな街並みに。広い道路は延焼を防ぎ、災害に強い街になった一方、人情味がなくなったことに寂しさを感じる住民もいる。震災前は69店だった商店街の会員も、再出発時は41店、現在は21店だ。

 小林さんと共に役員として商店街を切り盛りする田中直彦さん(62)は「今後、加速度的に商店街の会員が減るのは目に見えている」とし、「個人商店の経営が難しくなった全国的な流れと同じ。もう震災の影響という言葉で片付けることはできない」と語る。

 2人は現在、商店街振興組合を法人から任意団体に戻す手続きを進める。組合が維持できなくなる可能性も考えてのことだ。小林さんは「まちづくりを担ってきた住民が高齢になっている。私たちが受け継がないと街が死んでしまう」と危機感を募らせ、「にぎわいづくりというより、客を大切にし、つながりをつくる商店街にしたい」と話す。

 行政主導の復興土地区画整理が実施された地区では、兵庫県西宮市の森具地区も来年10月に事業完了から丸20年となる。

2020/12/26
 

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