「のぞみ」のパネル写真にユーカリを手向けるお別れセレモニーの出席者=南あわじ市八木養宜上
「のぞみ」のパネル写真にユーカリを手向けるお別れセレモニーの出席者=南あわじ市八木養宜上

 観光施設「淡路ファームパーク・イングランドの丘」(兵庫県南あわじ市八木養宜上)で飼育されていた国内最高齢のコアラ・のぞみのお別れセレモニーが、同施設で開かれた。大きなパネルが飾られた会場には全国からファン約200人が集まり、愛らしい姿を思い浮かべながら感謝を伝えた。(劉 楓音)

 のぞみは2008年、オーストラリア・ヤンチャップ国立公園生まれの南方系雌コアラ。兵庫県と西オーストラリア州の友好・姉妹都市提携30年を記念し、11年3月に贈られた。22年11月から国内最高齢となり、7月8日に老衰のため18歳4カ月で死んだ。

 セレモニーは6日にあり、守本憲弘・南あわじ市長や長友幸一・淡路県民局長らがあいさつし、在大阪オーストラリア総領事からのメッセージも披露。飼育員を代表し、後藤敦さん(44)が生前の姿を振り返った。

 のぞみは人工保育の影響か、抱っこされるのが大好きで「いつも安心したように身を預けてくれ、いとおしい存在だった」が、人間に依存しないよう「コアラらしさとのぞみらしさの、どちらも同じくらい大切に尊重する」という考えで、向き合っていたという。

 1年ほど前から消化器の調子が優れず、7月8日は朝から治療を受け、夕方、後藤さんの腕の中で意識を失い、午後9時に息を引き取った。

 「少しでも安心できる時間であったなら、よかったと思う」。ファンの間からすすり泣きが聞こえる中、後藤さんは「のぞみを知る人の心の中にはずっと生き続けていくと思います。長い間、本当にありがとう」と述べ、参列者はユーカリを手向けた。

 セレモニーの後は「特別トーク」として、後藤さんとのぞみ担当の村井駆さん(24)が思い出を語った。

 のぞみの名は、来園から8日後に発生した東日本大震災からの復興を願って公募で選ばれた。村井さんは「非常に穏やかな性格で人懐っこく、表情も豊かでみなさんに愛されてきた」と話し、掃除中の飼育員の頭に乗っかる姿やブラッシング中の表情などたくさんの写真が映し出された。

 「頑張り屋の一面も知ってほしい」と衰えてからの様子も説明。村井さんは好物のユーカリの種類などを紹介し、「最後まで自力でご飯を食べていた。非常に幸せなことだったのでは」と語った。後藤さんは「目の前の動物が何を好み、怖がって、どんなときに安心するのか。個性を知り、どうすれば良い一生を送れるのか考えることの大切さを再確認させてもらった」と感謝を述べた。

 「『のぞみちゃん、ありがとう』と伝えたくて来た」という会社員の清舛(きよます)昌子さん(45)=大阪市=は、今年5月に会ったのが最後だったという。「大きくてふわふわしていて、寝ている姿、後ろ姿だけでもかわいかった。抱っこされた時の安心した表情が印象的」と、在りし日をしのんでいた。