神戸・花隈の料亭で撮影されたマリリン・モンロー(右端)らの写真(福島順子さん提供)
神戸・花隈の料亭で撮影されたマリリン・モンロー(右端)らの写真(福島順子さん提供)

 映画「七年目の浮気」「お熱いのがお好き」などで知られる米ハリウッドのスター女優、故マリリン・モンローが60年以上前、神戸・花隈を訪れていたことはあまり知られていない。花隈がまだ「花街」として活気にあふれていた頃の話。料亭で芸妓(げいこ)らと食事を楽しむモンローの写真が残され、地域の歴史や文化を見直すきっかけにと、27日午前10時から、神戸市中央区の本願寺神戸別院(モダン寺)で開かれる催しで初めて展示される。(小西隆久)

 モンローは1954(昭和29)年2月、2番目の夫で米大リーガーのスター選手、ジョー・ディマジオとの新婚旅行で来日。東京、大阪など各地で熱狂的な歓迎を受けた。

 当時の本紙記事によると、2人は神戸も訪れた。旧居留地のオリエンタルホテルに2日間滞在し、2月20日夕に花隈の料亭「いさみ」(現存せず)へ。「(ホテルの)ロビーに待ち構えていた外人客、米兵、ホテル従業員など40、50人がたちまち人だかり」と熱狂ぶりを伝える記事とともに、いさみで天ぷらを頬張る大女優の写真が掲載された。

 展示される写真も、その場で撮影されたとみられる。写真左端の芸妓、福島シメさん(故人)のめいで、神戸市垂水区で飲食店を営む福島順子さんが所有。一緒に納まるのは当時の阪神電鉄社長、故野田誠三氏(左から2番目)らという。

 順子さんは「花隈が華やかだった頃の息遣いが伝わってくるような1枚。モンローさんのことを、叔母は『金色の産毛をゆらゆらさせ、とてもかわいらしい女性だった』と話していた」と振り返る。

 モンローは、官能的な歩き方や風にスカートが舞い上がるシーンなどに象徴され、20世紀を代表するセックス・シンボルともいわれた。36歳で亡くなった後も人気は根強く、今月17日には、62年にケネディ大統領の誕生日祝賀会で歌った際に着ていたドレスが米ロサンゼルスで競売に掛けられ、約5億3千万円で落札されている。

 写真は順子さんの提供を受け、「花隈モダンタウンフェスティバル」の一環で、地域の歴史を振り返る他の写真と共に展示される。主催の花隈モダンタウン協議会事務局(桜商会内)TEL078・341・6461