1899年、イギリスの雑誌に掲載された宝塚市内の瓶詰め工場(宝塚市提供)
1899年、イギリスの雑誌に掲載された宝塚市内の瓶詰め工場(宝塚市提供)

 食に関する調査研究を行う「ぐるなび総研」(東京都)が発表した「2017年 今年の一皿」で、準大賞を受賞した「強炭酸ドリンク」と、兵庫県宝塚市との知る人ぞ知る「縁」が、クローズアップされている。強炭酸ドリンクの代表格「ウィルキンソン タンサン」(アサヒ飲料)の“発祥の地”が宝塚といい、今年の一皿の授賞式には同市国際観光協会長が出席。市の担当者は「宝塚の歴史や観光資源、まちの誇りを再確認するきっかけになれば」と期待する。

 「今年の一皿」は、過去に「おにぎらず」「パクチー料理」などが選ばれ注目された。12月4日発表の2017年の大賞は「鶏むね肉料理」で、強炭酸ドリンクは「炭酸水の生産量はこの10年で約7倍。レモンサワーやハイボールのブームで、より刺激を感じることのできる強炭酸のアルコールメニューを導入する飲食店が増えた」などと評価され、準大賞に決まった。

 「ウィルキンソン-」は現在、アサヒ飲料が明石工場(明石市)などで製造し、販売している。同社によるとウィルキンソン関連商品は10年連続で過去最高の販売数量といい、担当者は「健康志向の中、無糖の炭酸飲料を直接飲むスタイルが定着し、爆発的な人気になっている」という。

 アサヒ飲料や宝塚市によると、「ウィルキンソン-」の創業者は、イギリス人のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏で、1889(明治22)年ごろ、宝塚市で狩猟中に炭酸鉱泉を発見したという。宝塚温泉のすぐ近くに瓶詰め工場を設け、90年から販売を開始。その後、1904年に西宮市塩瀬町生瀬に工場を移転し、「ウィルキンソン-」の名前で国内外に販売されたという。91年からはアサヒ飲料が製造している。

 東京都内で開かれた授賞式には、宝塚市国際観光協会長でホテル若水(同市)の小早川優社長(51)が出席し、「宝塚温泉で自然に湧いていた炭酸水の良さが、長い年月を経て再認識され、大変うれしい」とコメント。市観光企画課は「これを機に発祥の地を全国にPRし、地域活性化につなげていきたい」と意気込んでいる。(中島摩子)