地元での思い出を語るのんさん=姫路市駅前町(撮影・吉田敦史)
地元での思い出を語るのんさん=姫路市駅前町(撮影・吉田敦史)

 秋晴れの下、兵庫県姫路市のJR姫路駅周辺の3会場で開かれた「神戸新聞まつり in ひめじ」。地元ゆかりの芸能人のトークショーやミニライブ、大学生を交えて白熱した播州弁テーマのトークバトル…。神戸新聞の地域版の記事を活用した「まわしよみ新聞」のワークショップなどもあり、親子連れなど幅広い世代の来場者が新聞と播磨の魅力に触れ、学び、親しんだ。

 JR姫路駅北のメイン会場で繰り広げられた兵庫県神河町出身の女優のんさん(26)のトークショー。拍手で迎えられたのんさんは「駅前が新しくなっててびっくりしたけど、歩くとやっぱり『あ、姫路だ』『帰ってきたな』と感じる」と古里への愛着をにじませた。

 NHK連続テレビ小説で一躍人気者となったのんさん。近年は音楽やアートにも活動の幅を広げ、12月公開のアニメ映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」では主演声優を担う。

 この日はステージ上で「知らない街のような…」と辺りを見渡し、上京前の記憶をたどった。「寺前駅からJR播但線に乗って…」「ファッションビルで買い物をし、お気に入りのラーメン店に通った」などと懐かしそうに振り返った。

 話題が方言に及ぶと、「『何しとんけ』って言います。日頃、播州弁を使っていることに最近気付いた」と打ち明けた。播州弁で話してほしいと振られると、はにかみながら「こうやって…しゃべりに来とるで」と応じ、会場を和ませた。

 また「神河町にいたころにギターを始めた」と話し、中学時代の憧れだったバンドのメンバーが作ってくれたという新曲を紹介。今夏、芥川賞作家が原作の舞台に出演したことにも触れ、「初舞台で緊張したけど、初日は西宮市の劇場だった。地元の兵庫。みんな温かくて安心感があり、うれしかった」と述べた。ステージ後の取材では「次は兵庫でライブや展覧会をしてみたい」と意欲を語った。(井上太郎)