段ボールを手に播但道路連絡事務所に入る兵庫県警の捜査員たち=1日午前、同県福崎町西田原
段ボールを手に播但道路連絡事務所に入る兵庫県警の捜査員たち=1日午前、同県福崎町西田原

 兵庫県道路公社播但連絡道路管理事務所(同県福崎町)発注の工事を巡る官製談合事件で、県警に逮捕された保全課主査が着任した2020年以降、朝来市の総合建設業「松本組」が入札下限額と同額で2件の工事を落札していたことが分かった。同公社発注工事の開札結果表によると、この他にも、下限額をわずかに上回る額で落札した工事があった。

 県警捜査2課が官製談合防止法違反などの容疑で逮捕した主査は、豊岡市梶原の男(38)。

 主査の逮捕容疑は、松本組の取締役ら3人と共謀し、23年4月にあった姫路、高砂市にかかる橋梁の耐震補強修繕工事の入札で、事前に工事価格を教えるなどし、公正な入札を妨害した疑い。

 松本組取締役(40)、松本組の下請けだった「構造メンテ」(神戸市中央区)の取締役(49)、営業担当社員(67)の男3人も公競売入札妨害容疑で逮捕された。

 県警は、主査から入札情報を聞いた営業担当社員の男が松本組の取締役に内容を伝え、松本組が入札に臨んだとみている。入札には、松本組が特別共同企業体として参加し、設定された入札下限額と同額の9億3970万円で落札した。

 この他、22年2月に入札があった橋梁補修工事では、下限額から4万円高い6122万円で、21年5月入札の耐震補強・補修工事では、下限額と同額の4億6610万円で、それぞれ松本組が落札している。

 県警は1日、官製談合防止法違反などの容疑で、神戸市中央区の県道路公社と播但連絡道路管理事務所に家宅捜索に入った。県警は、4人の認否を明らかにしていない。

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 県道路公社によると、主査は、民間企業2社を経て14年に県土木部の経験者枠で採用された。「コミュニケーション力を発揮し、円滑に業務を進める職員だった」という。

 播但連絡道路管理事務所保全課では、工事管理などを担当し、設計額を知り得る立場だったとされる。幹部は「業者に狙われるようなウイークポイントがあったのかを検証する」とし、謝罪した。