パネル展を訪れた有本恵子さんの姉の北谷昌子さん(左)と妹の有本郁子さん=神戸市中央区下山手通5
パネル展を訪れた有本恵子さんの姉の北谷昌子さん(左)と妹の有本郁子さん=神戸市中央区下山手通5

 北朝鮮による拉致問題への関心を深めてもらうため、被害者らを紹介するパネル展が10日、神戸市中央区の神戸優良・高齢運転者運転免許更新センターなど兵庫県内6カ所で始まった。初日は同市出身の被害者、有本恵子さん=失踪当時(23)=の姉の北谷昌子さん(69)と妹の有本郁子さん(64)が同センターを訪れ「恵子を帰国させてあげたい」と訴えた。

 パネル展は政府の北朝鮮人権侵害問題啓発週間(10~16日)に合わせ、県警が毎年企画。会場には、恵子さんと神戸市出身の田中実さん=失踪当時(28)=のほか、拉致の可能性を排除できない行方不明者27人の情報を写真付きで掲示する。大学生だった恵子さんはロンドン留学中に消息不明になったと説明している。

 恵子さんの父明弘さんは2月、娘の帰国がかなわぬまま亡くなった。昌子さんと郁子さんは遺志を引き継ぎ、5月に拉致被害者家族会に入会した。2人は「活動を終わらせてはいけない」と決意を語り、「きょうだいだからやっぱり会いたい」と思いを吐露した。

 パネル展は16日まで。明石や姫路の運転免許更新センター、県警本部本館1階でも開かれている。

(若林幹夫)