将棋の伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(神戸新聞社主催)7番勝負の第5局は28日、神戸市北区、有馬温泉の旅館「中の坊瑞苑」で指し継がれ、午後6時21分、先手番の藤井聡太王位(22)=竜王、名人、王座、棋王、王将、棋聖=が、97手で挑戦者の渡辺明九段(40)を破った。シリーズ対戦成績4勝1敗で防衛、5連覇を果たし、永世称号「永世王位」の資格を得た。
永世王位の有資格者は故大山康晴十五世名人▽中原誠十六世名人(76)▽羽生善治九段(53)=日本将棋連盟会長-に続き4人目。藤井は22歳1カ月での資格獲得で、羽生の持つ「26歳11カ月」の最年少記録を更新した。
藤井は本シリーズ、1局目が千日手となり、指し直し局で劇的な逆転勝利を収めた。第2局は敗れたが3連勝して栄冠をつかみ、自身のタイトル獲得数を通算24期に伸ばした。
また、永世称号の資格は7月に得た棋聖に続き、二つ目。「22歳1カ月」で永世二冠となり、羽生の最年少記録「24歳9カ月」を約2年8カ月更新した。複数獲得した棋士には、羽生=永世七冠▽大山=同五冠▽中原=同五冠▽渡辺=同二冠-がいる。(小林伸哉)
【将棋の永世称号】タイトル戦ごとに定める名誉称号で、王位は「連続5期か、通算10期」が資格条件となる。ほかに名人「通算5期」、棋王「連続5期」、王将「通算10期」など。原則、引退後に名乗るが、日本将棋連盟理事会の推薦などによって60歳でも可能で、2022年に還暦を迎えた谷川浩司九段=神戸市=が十七世名人(永世名人)に襲位した例もある。
【ふじい・そうた】2002年生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。16年、史上最年少の14歳2カ月でプロ入り(四段)。20年、史上最年少の17歳11カ月で初タイトルとなる棋聖を奪取。23年、史上初の全八冠制覇を21歳2カ月で達成。現在は七冠。
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