日本を代表する映画監督が「これだけは言っておきたいこと」を語る本シリーズ、初回は日本映画監督協会第9代理事長の本木克英監督に話を聞いた。バブル期、早稲田大学政治経済学部から、当時お先真っ暗の斜陽産業といわれていた映画業界、松竹へ入社、昭和の名監督に師事し、その教えと作風を今に伝える。誰もが認める人情派コメディーの第一人者となったにもかかわらず、「本当は社会派の映画が作りたかった」と平気で口にする天(あま)の邪鬼(じゃく)。温和な風貌と人柄ながら、理事長として剛腕鬼才揃(ぞろ)いの映画監督を束ねる、柔剛相持つ本木監督が、その逆張り人生について語ってくれた。