開幕前に会場を訪れたヤマザキマリ。後ろは落語家の立川志の輔(左)、文楽人形遣いの桐竹勘十郎を描いた肖像画=京都市下京区、美術館「えき」KYOTO
開幕前に会場を訪れたヤマザキマリ。後ろは落語家の立川志の輔(左)、文楽人形遣いの桐竹勘十郎を描いた肖像画=京都市下京区、美術館「えき」KYOTO

 漫画「テルマエ・ロマエ」で知られる漫画家で、著述家としても活躍するヤマザキマリの足跡を伝える企画展「ヤマザキマリの世界」が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれている。同作の原画だけでなく、近年新たに取り組む油絵など250点余りが並び、多彩な表現活動の変遷をたどることができる。(安藤真子)

 同作は、古代ローマと現代日本を風呂でつなぐという奇想天外な物語が面白く映画化もされたが、ヤマザキが最初に志したのは画家。17歳で単身イタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史と油絵を学んだ。本展では幼少期の絵日記や学生時代の絵画も公開され、その原点に触れることができる。

 漫画家への転身は28歳のとき。ヤマザキはきっかけについて「文章と絵。好きな両方を合わせれば漫画になる、と友人に勧められた」と明かし「絵日記など、二つを合わせることでしか表現できない世界観が(幼いころから)自分の中に共存していた」と振り返る。

 会場では、緻密な漫画の原画もさることながら、シンガー・ソングライター山下達郎を描いた油彩肖像画がひときわ目を引く。背景は暗く、山下が浮き上がるように描かれている。ヤマザキは、山下から「フランドル絵画の技法で」と依頼があったといい「執筆と漫画で経済的に困らないなら油絵に戻ってもいいのでは、と背中を押された」と話す。同様に落語家の立川志の輔や文楽人形遣いで人間国宝の桐竹勘十郎も描かれている。

 このほか単行本や雑誌に寄せたエッセーに合わせて描いた世界各地のスケッチも並んでおり、ヤマザキは「表現を生業にすることでしか生きられないと気づいてから今に至るまで、さまざまなことをやってきた。その全てに『描く』という行為が共通している点に注目してほしい」と語る。

 30日まで。午前10時~午後7時半。一般1100円、高大生900円、小中学生500円。ジェイアール京都伊勢丹TEL075・352・1111