開放的な中山記念会館のカフェで談笑する、中山視覚福祉財団の松前篤志常務理事(中央)ら=神戸市兵庫区水木通2
開放的な中山記念会館のカフェで談笑する、中山視覚福祉財団の松前篤志常務理事(中央)ら=神戸市兵庫区水木通2

 今月16日、神戸市の名を冠した学術賞「神戸賞」の第1回受賞者が発表された。賞を創設したのは、医療用検査機器を世界展開するシスメックス(神戸市中央区)の創業家がつくった公益財団法人「中谷医工計測技術振興財団」(東京)だ。この財団のように、企業の創業者や一族らが創設し、学術の業績を顕彰したり、奨学金や助成金を提供したりする財団は数多く存在する。調べてみると、兵庫県内には企業が関連する財団が50以上もあった。教育や福祉、研究開発など、行政による「公助」だけでは手が届きにくい分野を、これらの財団がカバーしている。(高見雄樹)

難病患者らに総額40億円超 神戸やまぶき財団

 ブリヂストン創業家の石橋財団(東京)、ボートレースの収益の一部を財源とする日本財団(同)…。助成財団センター(同)の2020年度の資料を見ると、民間資金で設立された財団法人のうち、資産総額の大きな財団の上位には著名な組織がずらりと並ぶ。

 その中で4位に入ったのが、神戸賞を創設した中谷財団だ。そして6位には「神戸やまぶき財団」(神戸市中央区)の名があった。

 神戸やまぶき財団とはどんな財団か。実はここもシスメックスと縁がある。同社を創業した故中谷太郎氏の妻忠子さんが12年、保有株をもとに創設した。基本財産はシスメックス株式3600万株と、TOA(同)の株式200万株。配当収入を原資に、障害者や難病患者らを支援している。