新ブランド「Hyogo Quality」の第1弾商品。参画した10社はそれぞれの個性や強みを生かした商品を開発した=大阪市北区、梅田スカイビル
新ブランド「Hyogo Quality」の第1弾商品。参画した10社はそれぞれの個性や強みを生かした商品を開発した=大阪市北区、梅田スカイビル

 兵庫県靴下工業組合(高砂市)は、兵庫産靴下の魅力を広くPRしようと、独自の新地域ブランド「Hyogo Quality(ヒョウゴクオリティ)」を立ち上げたと発表した。第1弾には県内の10社が参画。長年培った技術力と強みを生かした新製品を、新商品の応援購入サイト「Makuake(マクアケ)」で9月10日まで販売している。

 兵庫は奈良県に次ぐ国内2番目の靴下生産量を誇り、東京を含めて三大生産地を形成。1886(明治19)年に加古川市で、海外から持ち帰った機械で製造が始まったとされる。1923(大正12)年の関東大震災で東京が落ち込み、輸入機械による技術革新もあって兵庫は生産量が拡大。アジアなどへ輸出された。

 戦後も繊維業の興隆で発展したが、徐々に中国などの安価な輸入品に押され、生産量は年々減少。同組合によると、2023年の生産量は約2770万足で、ピークだった1990年(約1億8730万足)の6分の1以下に。組合員数も89年の302社から2024年3月時点で43社にまで減った。高齢化や後継者不足で廃業も目立つ。

 地域の事業者が連携して衰退を食い止められないかと、安価な海外商品との価格勝負ではなく、質の高い日本産を売りにした商品づくりを今春から始めた。併せて品質を保証するため独自の規格も設けた。

 新商品企画には、地元ケーブルテレビ事業者のBAN-BANネットワークス(加古川市)やマクアケ、兵庫県や加古川市なども協力。第1弾に参加する10社は、かこっとん(加古川市)▽神木(同)▽兵庫センイ・ソックス(同)▽田中繊維(同)▽千代田繊維工業(同)▽日本編物(同)▽ミヤシタ(同)▽ワシオ(同)▽ナナソックス(南あわじ市)ユイ(同)。

 各社は、それぞれの特徴や高い技術力を生かした紳士用靴下を考案。環境に配慮した素材、快眠や運転に適した高い機能性、履き心地へのこだわりなど個性が光る。将来的には婦人用などの開発も視野に入れる。

 マクアケでの販売後、10月9日~22日(午前10時~午後8時)には、阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)の8階イベントスペースで販売予定。今後、東京などでの販売や展示会への出展を通じて、ブランドの認知度を高めていくという。

 同組合の鷲尾吉正理事長は「地元の兵庫県だけでなく、日本全国で履いてもらえれば。いずれは、昔のように海外輸出を目指したい」と語った。(谷口夏乃)