東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大槌町で活動する手作りグループ「おおつち おばちゃんくらぶ」がユニークなプロジェクトに取り組んでいる。同町特産のサケが生まれた川に帰るように、おばちゃんたちが作った白いサケの人形を全国に送り、買った人が刺しゅうや色付けをして送り返す。3月には同町で展示販売され、代金や販売金はグループの活動や来年度の準備金に充てる。取り組みはエフエム宝塚(兵庫県宝塚市)で紹介され、阪神間でも注目されている。(中川 恵)
おばちゃんくらぶは手作りを通じて笑い合えるようになればと、地元の14人で結成。平均年齢76歳で、手芸教室を開いたり、大漁旗を使ったマスクなどを作って販売したりしている。
サケ人形の取り組みは「Shake Hand(シェイク ハンド)」プロジェクトと名付け、関西のデザイナーグループと共に企画。「手をつなぐ」ことに加え、「(魚の)サケ」「手仕事」の意味も込めた。
戻ってきたサケの人形「デコ鮭(さけ)」は、ペンで色付けされたり、刺しゅうが施されたり。兵庫県内からも毎年サケが戻っていく。エフエム宝塚は毎週火曜に「大槌町HOTリポート」を放送中。担当パーソナリティーの松本かのんさんは「アイデアが大好き。作品の完成度に驚いています。楽しんでできるので、皆さん一緒にやりましょう」と呼び掛ける。
戻ってきたデコ鮭は展覧会に出品する。以前は京都で3年開催したが、その後、生まれた川へ戻る思いを込めて大槌町で開き、今年で5回目。来場者は気に入ったサケにシールを貼り、数の多い人に大賞が贈られる。コロナ禍もあり、今年は写真共有アプリ「インスタグラム」に寄せられる「いいね」の数も含める。
展覧会後、各地のイベントやワークショップでも展示販売会を開く。おばちゃんくらぶの川原畑洋子さん(65)は「心の痛みはまだまだあるけれど、みんなが応援してくれている。サケがどこまで放流されるか知りたい」と話す。
サケの人形は1匹200円。装飾を施した後、名前や住所、メッセージ、販売希望額を記して、3月5日までに「おばちゃんくらぶ」へ返送する。おおつち おばちゃんくらぶTEL090・7074・0174、メール(adyn0827@yahoo.co.jp)
