兵庫県尼崎市立尼崎高校の水泳部でいじめ被害を受けた女子生徒２人が転校に追い込まれた問題で、市教育委員会は２２日、転校・退学する生徒について、市教委へ報告するよう学校に義務付けるなどの再発防止策を示した。

　いじめ問題に関する第三者委員会の報告書が出たのを受け、市総合教育会議で松本真教育長が報告した。

　これまで転校者や退学者について報告義務はなく、校内で処理されていた。だが、２０１７年にいじめ被害を受けた女子生徒（当時１年）を巡り、教頭と顧問が本人側に無断で「転学願」を作成していたことが判明。いじめを理由に転校した事実の隠蔽（いんぺい）を図った可能性が高いとされた。今後は理由の説明も含め、毎月報告するよう義務化する。

　風通しの良い職場環境づくりに向け、体育科の教官室をガラス張りにし、部活動単位の教官室は原則廃止する。全教員にいじめ防止対策推進法の研修を行うほか、高校の部活動顧問には精神疾患やコーチングに関する研修の受講義務化も盛り込んだ。

　この日の会議では、同校の体罰問題を受けた根絶への取り組み状況も報告された。（竹本拓也）

＜尼崎市教育委員会が示した主な再発防止策＞

◆転学者や退学者が出た場合、市教委への報告の義務化（毎月）

◆体育科教官室を「見える化」し、部活単位の教官室も原則廃止

◆いじめ防止やカウンセリングに関する研修を全教職員に実施

◆高校の部活動顧問が精神疾患や心身症を理解し、コーチングを学ぶ研修の受講を義務化

◆保健の授業でいじめや高校生の心理、心の病に関する授業を実施