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 阪神北地域の観光関係者を失望させた数字がある。

 阪神北を訪れた外国人のうち、4人に1人が「エリア全体として魅力がない」と感じている-。昨年公表されたインバウンド(訪日外国人客)に関する調査結果だ。

 そもそも阪神北4市1町を訪れる外国人は、コロナ前でも1日平均わずか500~700人。この地域が全体として、インバウンド需要から取り残されてきた証左といえる。

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 「日本遺産認定」ののぼり旗が、酒蔵通りに寂しくはためく。白壁づくりの古い酒蔵があり、江戸の風情を残す兵庫県伊丹市中心部。歴史文化を象徴するエリアだ。

 「本当なら今ごろ、外国人観光客が押し寄せていたかも」。市の担当者は、新型コロナウイルスの影響で国内から外国人客が消えた現状を苦々しく語った。

 昨年6月、伊丹を含む神戸・阪神間の日本酒を巡る物語が、文化庁の日本遺産に認定された。「清酒発祥の地」を掲げる伊丹。官民挙げた活動の原点は、インバウンドへの渇望だった。

 だがコロナ禍で酒蔵や飲食店を巻き込んだ祝賀行事は中止か縮小され、空の玄関・伊丹(大阪)空港でのイベントも見送られた。

 市は戦略を転換し、まずは地元ガイド養成や独自テキストを使ったセミナー開講という地道な活動に軸足を移す。「今は我慢のとき」。担当者は力を込める。

 一方、酒蔵通りに店を構える60代女性は懐疑的に語る。「すごい観光地になるイメージがわかない」。日本遺産認定が、コロナ収束後に地域の観光をどう変えるのか。いまだ未知数だ。

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 「歌劇のまち」として外国人からの知名度も高い宝塚市。国内外から訪れる観光客は年間800万人を超え、阪神北地域では独り勝ちが続く。

 だが県内屈指の観光都市にもコロナは影を落とす。集客の柱となる清荒神と中山寺は参拝が激減。もう一つの柱である宝塚大劇場は昨春、約4カ月の公演休止に追い込まれた。そこへの手当ては喫緊の課題だ。

 それに加え宝塚には、コロナ前からの“宿題”がある。2003年に遊園地「宝塚ファミリーランド」が閉園し、市内の観光客は2割減少。回復を果たせぬ間に、神戸市は1割、淡路市は6割もの伸びを見せた。

 「宝塚ブランドなんて、ごく限られた地域の話じゃないか」。市の北部・西谷地区の農家男性(73)は、積年の憤りをぶちまけた。

 西谷地区は市域の7割を占めながら、人口は市全体の1%。高齢化も著しい。過去には県主導のニュータウン構想もあったが頓挫。半世紀前に土地利用が規制されたきり、過疎化が進む。18年に新名神高速道路の宝塚北サービスエリアができ、地域活性化への期待も膨らんだが、地元には今なお実感が乏しい。

 人口も予算も縮む時代、大規模な開発は望めない。だが格差に苦しむ地域の焦りは大きい。「西谷は可能性のある地。市はいつまで放置するのか」

(取材班)

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