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 4日告示、11日投開票である兵庫県の伊丹市長選で、市立伊丹病院(昆陽池1)の建て替えが争点に浮上している。市は2025年に近畿中央病院(車塚3)の機能を統合し、阪神北の中核となる高度急性期病院「市立伊丹総合医療センター」(仮称)に生まれ変わらせる予定だ。しかし近隣でも病院の統合再編が相次ぐ中、約400億円という破格の事業費や、近畿中央の跡地利用を巡り懸念の声が上がっている。(久保田麻依子)

 ■根拠は医療需要予測

 「ここ数十年で最大の事業。攻めに転じなければ破綻しかねない」

 市幹部の表情は険しい。市立伊丹病院は2014年度から4年連続で赤字となり、最近は回復基調にあるが厳しい資金繰りが続く。

 消費増税などのあおりを受け、多くの公立病院が経営難に陥っており、隣の宝塚市立病院でも収益は類似病院の平均を下回っている。最新設備を持たない病院では医師も集まらず、患者も来ないという悪循環だ。

 早く魅力のある病院にしないと“負け組”になる-。伊丹が勝機とみるのは、医療需要予測だ。阪神北は阪神南より高いのに、高度急性期病院は人口が多い阪神南に偏在している。

 阪神北は阪神南に比べて人口10万人あたりの医師数が4割も少なく、伊丹では重症患者の半数超が市外へ救急搬送されている。

 ■異例の400億規模

 しかし、600床もの病院規模には懸念も広がる。

 25年度には49万都市の同県西宮市でも、市立中央病院と県立西宮病院が統合して550床の新病院が完成する。20万都市の伊丹で、それを上回る床数を持つのは「荷が重い」との声は根強い。

 また隣の同県川西市は19年度から市立川西病院を公設民営で運営し、来年9月には市中心部に移し「市立総合医療センター」(400床)とする予定だ。伊丹が競争の激化にさらされ、新病院が患者不足に陥れば赤字は一気に膨らみかねない。

 さらに409億円もの事業費は県内でも破格とされる。うち168億円は国や県の補助金を活用するが、16年に同県加古川市が近隣2病院を統合した加古川中央市民病院(600床)でも233億円。加古川では建設事業を巡って2度の贈収賄事件もあり、伊丹も気は抜けない。

 ■地域医療は命の砦

 市域の約8割が阪急やJRのない「鉄道空白地」と呼ばれる伊丹。車以外の移動手段はバスなどに限られ、病院統合問題でもネックになっている。

 近畿中央病院は尼崎市との市境にあり、統合すると地元住民は新病院まで約3キロの距離をバスで20分以上かけなければならない。このため、地元有志の会は、跡地に民間病院を誘致するよう市に繰り返し要望。代表の原田雅代さん(70)は長年原因不明の気胸に悩まされ、近畿中央でようやく病名が分かった。

 「地域医療の充実は命の砦(とりで)。車を使えない高齢者にとって不便が増すことになる。私たちの切実な思いに、耳を傾けてほしい」

 市はまだ、具体的な方策を示せていない。

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