「患者が求める医療を提供できない事態は、災害と呼ぶしかない」-。4月中旬、兵庫県西宮市保健所(西宮市江上町)で職員らが口にした。新型コロナの感染「第4波」の到来で病床が逼迫(ひっぱく)し、自宅療養を余儀なくされる感染者が激増した。患者宅への酸素供給や医師の往診依頼にも、準備がままならない中で対応が求められた。新規感染者数が一定収まってきた5月19日、西宮市保健所を取材した。(中川 恵)
「どれくらいの熱ですか」。西宮市保健所2階フロアの一角にある「疫学調査」エリア。保健師が電話で聞き取って書きとめる。
症状や既往症、濃厚接触者の有無を調べる疫学調査。感染拡大を防ぐために欠かせないが、第4波では患者が増えすぎたため、本人への聞き取りだけに簡略化した。ただ、保健師の女性(42)は「調査は感染を広げないために続ける。やめることは信念を捨てることだ」と話す。
コロナ対応は、医療機関から送られてくる「発生届」の受信から始まる。名前や症状が記され、これをホワイトボードに貼った紙に書き込み、随時、判明情報を追記する。応援職員などいろんな立場の人が出入りするため「アナログの方が効率がいい」(職員)。患者情報は後に患者情報管理システムで共有する。
コロナ患者には当初、数人が個室で対応していたが、5月の連休明けから2階の大部分を使って70~80人が業務に当たる。「コールセンター」「検査調整」「在宅支援」など担当エリアに分かれ、近隣の大学や他県からも応援で職員が駆け付けている。定時で帰れる人はほとんどおらず、終電近くまで残る人も多い。
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第4波では患者が療養する病院もホテルも足りなくなった。4月中旬には複数の病院が増床してくれたのもつかの間、どれもすぐに満床になった。
自宅療養中の患者へ、保健師は毎日電話をして症状を確認する。5月の連休明けには、その対象は400人弱に上った。
患者が呼吸苦を訴えると、市医師会を通じて往診を依頼する。入院調整もするが、最近は自宅で過ごして療養を終える人も多い。
「入れるかどうかはその時々による。病院に『いっぱいです』と言われるのが、何よりつらい」(職員)
市人事課係長でコロナ対策室を兼務する男性(39)は4月中旬、自宅療養者の体調悪化に備え、医師や訪問看護師、薬剤師と連携し、複数の業者からも酸素を速やかに届けてもらえるよう態勢を整えた。
「酸素は自宅療養に欠かせない。在庫が切れそうになると、ひやひやする」
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夜。患者や消防、病院からの連絡に24時間対応する専用携帯電話には、課長級以上が交代で対応する。
呼吸苦を訴える電話を受けて酸素を届けたり、緊急入院の調整をしたり。多い時は9件の着信があり、眠れないこともある。
心ない言葉を吐く人もいる。「なんで入院できんのや」「殺す気か」「死んだらお前のせいや」-。
職員たちは愚痴をこぼさないが、福田典子・保健所長(51)は「職員のメンタルケアは心配ごとの上位にある」と明かす。
今、患者の年齢層がどんどん下がっている。60代でも酸素吸入が必要になり、自宅で急に悪化するケースが後を絶たない。
福田所長は「先が見通せず、ずっと不安が続いている。状況を改善する特効薬は今のところなく、この災害を乗り切るには、患者の絶対数を減らすしかない」と語気を強めた。
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