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笹原篤史さん
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■完熟の一粒その日のうちに

 住宅街で目をひくビニールハウス。中に入ると甘い香りが鼻腔をくすぐる。1メートルほどの高さに“緑の帯”のように並んだ苗木から、つややかなイチゴがずらりとぶら下がる。真っ赤に熟れた一粒に手を添え、いとおしそうに目を細めた。

 神戸市北区で生まれ、中学時代に現在の住まいでもある母の実家に移った。祖父は、クウシンサイや食用ヘチマなど中華料理に使われる野菜を栽培していた。農業は身近だったが、学生時代は特に興味を持たなかった。

 転機は就職活動。金融や物流、飲食チェーンなどを受ける中、最終面接で福井県内の青果生産会社を訪れた。そこで見たのが高糖度のトマトを栽培するビニールハウス。水耕栽培をしている内部は、巨大な「工場」に思えた。温度や湿度の管理、水やりなどが自動化され、くわで土を耕す農業のイメージが一新された。

 同社から内定通知を受けたが、農業への関心が高まり、「一から自分の手でやりたい」と断った。インターネットで手本となりそうな個人農園を検索。県内のほか、脱サラした夫婦が営む千葉県の農園などで修業した。今も師と仰ぐ神戸市北区のイチゴ農園で3年間研修し、2019年9月に就農した。

 通常、イチゴは生産地から店頭までの時間を計算して熟す前に収穫する。ただ、消費者との距離が近い都市部では、完熟のイチゴをその日のうちに直売できる。そうして地元住民を中心にファンを獲得した。試食したJA職員も「大きくて形がきれいなだけでなく、甘さが抜群」と太鼓判を押す。

 「農業は自然の恵みをいただくことにとどまらず、安定した質と量を確保し、事業として継続できるよう挑戦し続けなくてはならない。厳しさを実感している」

 早朝から夕方まで、頭と体を動かし続ける。短時間でリフレッシュできるサウナにはまっている。27歳。(斎藤雅志)

【メモ】経営する「ささはら菜園」は1600平方メートルに「紅ほっぺ」約5200株と「かおり野」約千株を栽培。2年目の今年は6トン程度の収穫を見込んでいる。祖父の農機具小屋を改修した直売所で摘みたてを販売する。

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