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(上)プールに向かうベラルーシの代表選手ら=いずれも尼崎スポーツの森(下左)プール入り口で消毒作業をする女性スタッフ(下右)練習場の50メートルプール
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(上)プールに向かうベラルーシの代表選手ら=いずれも尼崎スポーツの森(下左)プール入り口で消毒作業をする女性スタッフ(下右)練習場の50メートルプール

 世界最大のスポーツ祭典には程遠いムードだなあ。そう思わざるを得ない。

 今月11日、兵庫県尼崎市南部の「県立尼崎スポーツの森」にある屋内プール施設は薄暗かった。翌日から東京五輪の競泳ベラルーシ代表選手団の練習が始まるのに閑散として、女性スタッフが1人で壁やカウンターを布で拭いて消毒をしている。

 子どもたちのきゃっきゃと笑う声が聞こえるのは、隣の屋外プールからだ。楽しそうに遊ぶ親子連れのうち、ここに海外の一流選手が来ることを知っている人はどれだけいるだろう…。

 この日の夕方、選手団の10人が関西空港に到着するというのに、尼崎市が積極的に広報することはなく、滞在するホテルも非公表。全国の「ホストタウン」では市民らが出迎えるまちもあるが、感染対策を最優先した結果だった。

 「市民の不安は大きく、五輪反対論も根強い。1人でも選手団から感染者を出したら尼崎は一体どうなるか」。誘致に関わった職員は、合宿が無事に終わるまでの重圧をそう語った。

    ◇

 「本当は大々的に知らせたい。数ある候補地から3カ国もわざわざ尼崎を選んでくれたんですよ」

 屋内プール施設の今里藤勝館長(67)が汗を拭いながら、悔しそうにやるせない口ぶりで言って、1枚のパネルを見せてくれた。

 2年前に韓国であった世界選手権で、ウクライナなど4カ国の選手が尼崎で合宿した時の写真だ。水泳教室に参加した地元の小学生たちが肩を並べて写り、その笑顔が何ともまぶしい。

 しかし今回、18日の練習風景を見られるのは先着200人に限られ、選手と触れ合うこともできない。

 「だから、せめて選手には競技に専念してもらいたい。消毒をはじめ、安全のためにできることは、全部やる」と今里館長。「安心」を精いっぱいの“おもてなし”にするほかない、と心に決めたのだという。

    ◇

 尼崎がホストタウンに登録されたのは昨年10月。誘致合戦に勝ち、ベラルーシの競泳▽ギリシャの競泳▽ウクライナの競泳・アーティスティックスイミング-の受け入れが決まった。

 プールの水深を本番さながらに調整でき、空港へのアクセスも良いのが評価された。さらに北京五輪以降、滞在した選手が金メダルを取ったり、順位を10も上げたりしたという「合宿ジンクス」が競技関係者の間で広まり、尼崎はアジアで人気の地らしい。

 市も当初は歓迎イベントや水泳教室を企画して、選手と市民の交流に乗り気だった。ところが今春の“感染第4波”で市内の感染者が日に70人にもなり、入院先がないまま自宅で亡くなる患者が相次ぐと、勢いは急速にしぼんでしまった。

 今月6日にはついにギリシャの合宿中止が発表された。ただ、ウクライナ、ベラルーシは滞在し続ける。

 ホストタウンの実感を得られない市民。ホテルとプールを往復するだけの選手団-。双方にとって、もう少し明るい思い出を残せる方法はないのだろうか。

 市幹部に取材を申し込むと慎重な答えが返ってきた。「同じような取材依頼が多いので、個別の対応はお断りしています」(竹本拓也)

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