夏の交通事故防止運動が始まり、兵庫県警西宮署の交通安全大使に任命されたフィギュアスケート日本女子のエース紀平梨花さん（１８）＝西宮市出身＝が１６日、西宮市役所で啓発動画の撮影に臨み、せりふ回しでＮＧを十数回繰り出すも、明るい“紀平スマイル”で現場を和ませた。

　警察官の制服姿でカメラの前に立った紀平さん。十数人の県警スタッフや報道陣に囲まれて撮影に挑んだ。

　台本では「こんにちは、紀平梨花です」とあいさつをした後、「交通事故、それは予期しないところで起こり、取り返しのつかない結果につながることがあります」と続く。しかし、うまく言えない。

　「取り返しのつかないときに…」「取り返しのつかないテッカに…」「予期しないときに…」

　そのたびに撮り直し。しかし、気落ちすることなく堂々とし、大舞台で鍛えた胆力をうかがわせた。

　再び挑戦すると、「予期しないところで……、ああ、そこばかり気にして次が出てこない」「一つのことに集中すると他を忘れちゃう」と苦笑い。現場にほのぼのとした笑いを広げ「大丈夫、大丈夫」と励まされた。

　「ＯＫ」が出ても「もう一度、お願いします」と再挑戦。納得のいく言い回しができると、関係者から拍手が沸き起こり、温かい雰囲気に包まれた。

　終了後には、県警の職員から数日後に迎える１９歳の誕生日に向けて花束とプレゼントが渡された。

　「今回の演技の自己採点は？」。報道陣からそう問われると、「（横断歩道前で車に『どうぞ』と示す）ポーズは１００点。でも、せりふは何とかＯＫテークがとれたので４０点くらいかな」と照れくさそうに笑った。