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34年の歴史に幕を下ろす居酒屋ふじや民芸店=西宮市高松町
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34年の歴史に幕を下ろす居酒屋ふじや民芸店=西宮市高松町
古木をあしらった温かみのある内装が人気の店内(クワタ提供)
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古木をあしらった温かみのある内装が人気の店内(クワタ提供)
西宮北口の兵庫県立芸術文化センターで凱旋ライブをしたキュウソネコカミのメンバーら。ライブ後の打ち上げは、思い出の居酒屋ふじや民芸店で行った(スピードスター・ミュージック提供)
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西宮北口の兵庫県立芸術文化センターで凱旋ライブをしたキュウソネコカミのメンバーら。ライブ後の打ち上げは、思い出の居酒屋ふじや民芸店で行った(スピードスター・ミュージック提供)

 阪急西宮北口駅(兵庫県西宮市)前で34年間営業してきた「居酒屋ふじや民芸店」が、31日で閉店する。近年の宴会離れで客が減っていたところに、新型コロナ禍が追い打ちをかけた。阪神・淡路大震災時には、いち早く店を開けて復興を支援。関西学院大出身メンバーによる人気ロックバンド「キュウソネコカミ」結成にも関わった同店。運営会社の桑田賢社長は「店はなくなってしまうが、ここで生まれた思い出が、人々の心に残り続けたらうれしい」と話す。(中務庸子)

 同店は、西北エリア(西宮北口駅周辺)で居酒屋など7店舗を経営する「クワタ」(西宮市)が1987年に開業した。店内は、柱やはりに古木をあしらった昔懐かしい造り。1階はカウンターとテーブル130席を備え、2階には最大100人を収容する宴会場がある。

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 サラリーマンや近隣住民に親しまれ、阪急西宮スタジアムがあった頃は、市民祭りや有名歌手のコンサートのたびに多くの客でにぎわった。

 95年の震災では、店内の酒瓶や食器が割れ、ガスも水道も寸断された。しかし建物は無事だったことから、発生3日後には営業を再開した。「社長だったおやじは、一日も早く街に明かりを-と思ったんでしょうね」と桑田社長。山で湧き水をくみ、カセットコンロで調理をして、料理を提供したという。

 当時、阪急神戸線の梅田(現大阪梅田)-西宮北口間は通常運転をしていたことから、安否確認に向かう人たちで西北はごった返した。神戸方面へ徒歩で行き来する人たちが日々、同店で空腹を満たし、疲れた体を癒やしたという。

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 同店には、西宮・上ケ原に主要キャンパスがある関学大の学生も多く訪れた。軽音楽部も同様で、同部に所属していたロックバンド、キュウソネコカミのメンバーも学生時代から利用していた。

 それぞれ別のバンドを組んでいたが、4年生の春、同店でヤマサキセイヤさん(ボーカル・ギター)が、ヨコタシンノスケさん(キーボード・ボーカル)らを誘ったことでバンドが誕生したという。

 西宮への思いを込めた楽曲「Welcome to 西宮」のミュージックビデオでも、メンバーが2階の宴会席でビールを飲む様子とともに、結成秘話を紹介している。

 ヨコタさんは「学生時代はお店にずいぶん無理をきいてもらった」と振り返り「民芸店での声掛けが全ての始まり。“聖地”がなくなるのは残念で寂しい」と話す。

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 西北エリアは震災後、再開発されたビルに大手居酒屋チェーンが進出するなどして競争が激化。若者の酒離れなどもあって、同店の宴会売上高はピーク時の半分にまで減少していた。

 そこに襲ってきたコロナ禍。度重なる緊急事態宣言や時短営業要請で、1日の売り上げが2、3万円で終わることもあった。桑田社長は「コロナ収束後も宴会需要が元に戻ることはないだろう」と、昨年11月に閉店を決めた。

 今後は建物を取り壊し、新たにテナントビルを建設する予定という。桑田社長は「閉店は苦渋の決断。これまで支えてくれたお客さんやスタッフに感謝し、残る店舗で最大のおもてなしをしたい」と力を込めた。

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