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出版された「尼崎市の公園」(尼崎市歴史博物館提供)
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 兵庫県尼崎市内にある都市公園の数は全国屈指の53位-。なぜそんなに多いのか。その経緯や、一つ一つの特徴を網羅した記録誌「尼崎市の公園」を、市で公園管理を担ってきた職員OBの榎本利明さん(94)らが出版した。国との協議、住民との用地買収交渉…。市が苦労しながら公園を増やしてきたのは、高度経済成長期に汚名を着せられた「公害のまち」から脱却するためだった。(村上貴浩)

 2018年、民間の「本当に住みやすい街大賞in関西」でJR尼崎駅周辺がトップに輝いた。評価されたのは利便性の良さに加え、一帯に整備された公園の豊かさだ。

 20年度の政府統計資料によると、尼崎市内の都市公園は416カ所あり、全国の市町村1741カ所のうち53番目と上位にランクインしている。

 「まちが住みやすくなったのは公園、緑化事業を市民と進めてきたから」と榎本さん。1955(昭和30)年に県職員から市に移ると、当時の市長らに公園の重要性を訴え、新設された「みどり課」の初代課長や緑政部長を歴任してきた。

 記録誌「尼崎市の公園」はA3判403ページ。尼崎の公園の歴史は1910(明治43)年、阪神電鉄尼崎駅近くに「庄下川遊園地」が設けられたのが始まりだった。しかし、戦後60年代の高度経済成長期に尼崎は工業地帯となり、公害問題が深刻化。ばい煙で空は曇り、川はどす黒くよどんだ。

 その対策として、市は環境整備や都市計画を進める中で、公園整備を重要課題に据えてきたという。

 市内には特徴的な公園がたくさんできた。蒸気機関車の巨大な車体が展示される「大物公園」、敷地面積がわずか12平方メートルしかない「浜浦街園」…

 中でも「猪名川公園」(椎堂1)は69(昭和44)年、大きく湾曲していた猪名川のショートカット工事で残った跡地を自然林に育てた公園だ。この年代で都市部に緑地を残すという考え方は、他の自治体に比べてかなり早かったという。

 さらに2025年にプロ野球・阪神タイガースの2軍球場ができる予定の「小田南公園」は1983(昭和58)年、隣にある県立病院の移設とセットで造られた。住民の反対運動が起きる中、建設省(現国土交通省)と何度もやりとりして防災公園としての設置にこぎつけたという。

 記録誌は2016年から調査を始め、3年の歳月をかけて345カ所を網羅した。榎本さんは「(今後も)加筆修正され、いっそう発展することを願う」と締めくくっている。

 一般に販売はせず、歴史博物館や市内の図書館、歴史博物館のホームページで読むことができる。

■県内他市のケースは? 神戸・公害と大震災が転換点 姫路・合併で市域拡大の結果 西宮・震災後に区画整理進み

 都市公園の箇所数でランキング上位のまちは、それぞれにどんな経緯があったのかを聞いた。

 全国6位、県内トップの1540カ所がある神戸市。尼崎市と同じく1960年代に公害が大きな問題となり、71年4月から「グリーンコウベ作戦」と名付けて市内に公園、緑地を増やした。また阪神・淡路大震災も転換点となり、区画整理で防災のための公園を増設していったという。

 「戦災の影響もある。東遊園地や湊川公園など、市街地に大きな公園があることが特徴の一つ」とした。

 県内2位の920カ所がある姫路市は、2006年の4町合併で各町の公園が市域に加わったことが大きな理由とする。特徴としては「遊具が一つあるくらいの小規模な公園が多く、浜手の方では緑地が続いている」とし、団地の建設などで小さな公園が密集している傾向があるという。

 県内3位の519カ所がある西宮市も阪神・淡路大震災後の区画整理を要因に挙げた。また北部の住宅街では条例に基づき、宅地開発に合わせてセットで公園が増えているという。

 特徴としては「海と山に囲まれており、鳴尾浜臨海公園や県立の甲山森林公園など自然環境を満喫できる公園が多い」とした。(村上貴浩)

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