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有料老人ホームが建設される予定地。開発区域に急斜面(左)が含まれ、住民が土砂災害の危険性を訴えている=9月13日、西宮市西平町
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有料老人ホームが建設される予定地。開発区域に急斜面(左)が含まれ、住民が土砂災害の危険性を訴えている=9月13日、西宮市西平町
急斜面を支える古い石積みを見上げる住民ら。すぐ隣に民家が立つ=4月21日、西宮市西平町
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急斜面を支える古い石積みを見上げる住民ら。すぐ隣に民家が立つ=4月21日、西宮市西平町
予定地の急斜面にある石積み=西宮市西平町
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予定地の急斜面にある石積み=西宮市西平町

 閑静な住宅街として知られる兵庫県西宮市の夙川エリアで有料老人ホームの建設計画が進み、反対する住民と事業主が対立を深めている。予定地には土砂災害警戒区域に指定された急傾斜地が含まれ、住民は「斜面が崩れるのでは」と懸念するが、事業主は「リスクは高まらない」と否定。事業主が当初、市条例で義務づけられた「住民との協議」を、文書を配るだけで済ませようとしたことも不信を招いている。(山岸洋介)

 建設が進んでいるのは同市西平町の土地で、もともとは2階建てハイツや文化住宅などが立っていた。

 計画によると、約2100平方メートルの敷地に高さ約15メートルの施設(地上5階・地下1階)を建て、72室に最大80人が入居する。当初は来春完成の予定だったが、大幅に遅れているという。

 事業主の株式会社チャーム・ケア・コーポレーション(大阪市)は、首都圏や近畿圏で約60カ所の老人ホームを運営している。西宮市を含め阪神間でも複数の老人ホームを開業。近年は富裕層をターゲットにした高価格の物件に力を入れている。

 同社は昨年春、各戸に「新築工事について」という文書を配布し、建設予定を明らかにした。だが、その中で対面の個別説明や説明会は行わないと明記。理由として「新型コロナの拡大防止」を挙げた。

 市条例は、開発時には「住民に計画を説明し、協議しなければならない」と定めている。同社は市の指導を受けて対応を改めたものの、地元では「一方的な通告だけで進めようとした」と批判が高まった。

 予定地の急傾斜地は高低差が約10メートルあり、住民らは計画の安全性も懸念。斜面を支える石積みは完成した年代が特定できないほど古く、亀裂も目立っている。

 斜面下には住宅が立ち並んでいるため、住民は石積みの老朽化判定をするよう求めたが、同社側は「開発区域外にある」として拒否。石積みより高い位置に擁壁を新設し、石積みに荷重をかけないよう設計するため安全だとした。

 今年8月、住民側の集会に参加した男性は「疑問や不安に事業主が正面から向き合っていない。土砂災害の懸念に対し、具体的なデータや根拠を示さず『安全』と言われても納得できない」と訴えた。

 住民らは路上駐車や悪臭、排水設備の不備なども問題視。市に調停を申し立てたが、双方の主張の隔たりが大きいとして7月に打ち切られている。

 同社は「手続きは法令や行政の指導に従って進めている。ご理解いただけるよう、今後も丁寧に対応していく」とした。

■市「建設は条例適合、住民の理解得られるよう努力を」

 西宮市では医療介護のニーズが高まる85歳以上の人口が、2035年までの20年間で2・3倍に伸び、約3万2千人になると予測されている。市は高齢者の受け皿として、入居施設を段階的に整備。今回の介護付き有料老人ホームも公募で採択され、市の計画に組み込まれている。

 市内の介護付き有料老人ホームの定員は16年度に1100人だったが、一部施設の廃止縮小によって20年度には975人に減少。市は21、22年度の2年間で、介護付き有料老人ホームなど「特定施設」の定員を760人増やす計画だ。

 市福祉のまちづくり課は「事業者の選定は公開された基準に沿って適正に行っている」と説明。市開発指導課は「今回の建設計画に条例上の問題は見当たらない」とする一方、事業主に対して「住民の理解を得られるよう引き続き努力してほしい」と求めた。

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