阪神

  • 印刷
運行1年を迎えたランランバス=宝塚市栄町2、JR宝塚駅前
拡大
運行1年を迎えたランランバス=宝塚市栄町2、JR宝塚駅前
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 高台にある兵庫県宝塚市月見山、長寿ガ丘の住民の“足”となる地域バス「ランランバス」が1日、運行から1年を迎えた。両地区は公共交通機関が整備されておらず、住民の不便な生活環境を改善するため、新型コロナウイルス禍の中で運行がスタートした。1年間で乗客数は5万人を超えたが、計画をやや下回ったため赤字になる見込みで、今後、事業の採算性が課題となる。(西尾和高)

 バスはJR宝塚駅前を発着点に2コース(10停留所)を設定し、午前7時台~午後8時台、月見山と長寿ガ丘の2地区を結ぶ。平日34便、土曜30便、日曜・祝日26便を運行している。

 両地区は阪急宝塚駅から南西約1キロの圏内にあり、約50年前に住宅地として開発された。高齢化が進むが、急勾配の坂道が続くため、2015年に乗り合いバスの運行が始まった。ところが18年、当時の事業者が台風で被災し、19年に撤退。その後、バスを運行するタクシー会社「フクユ」(伊丹市)が事業に応募し再運行が決まった。

 開始以降、1カ月あたりの乗車人数はおよそ4千人前後で推移。今年1月の3317人が最も少なかった。今年7月はコロナワクチンの接種で住民の外出機会が増えたため最多となり、初めて5千人を超えた。

 バスは13人乗りで、1便の平均乗車人数は3・9~5・1人、乗車率は29・8~39・2%と低調気味。住民たちでつくる「ランランバスを守る会」は、1便の平均乗車数を1人ずつ増やし、将来的に1カ月約千人増やしたいとする。同会の青木賢一副会長(73)は「コロナで外出を控える傾向にあるが、少しでも収まれば、利用者は増える」とみる。

 午前7~9時台の便の乗車人数が少ない状況にも着目。青木副会長は「現役世代を狙い、通勤などに利用してもらえるようにバスのPRに努めたい」と乗車率の向上を目指す。

 フクユの下原裕史営業部長(57)によると、昨年10月から1年間でみると、400万円前後の赤字になる見込みという。「地域公共交通としての責務を担い、今は採算性よりも運行を優先するが、赤字が続くと継続は難しい。地元の高齢者だけでなく、幅広い世代に乗ってほしい」と漏らす。

 坂道を下る際、バスに乗らず、歩く人が多いといい、下原営業部長は「自宅からの片道だけでなく、往復で利用してもらえば、利用者数は倍に増える」と考える。青木副会長は「地域の交通手段として維持できるように、今後もアイデアを出したい」と話す。

■住民の熱意、事業者動かす

 「通院、買い物、通勤、育児…。安心して住み続けるには地域に継続的なバスの運行が絶対に必要だ」。住民の強い願いが昨秋、“地域の足”を復活させる原動力となった。

 バスの本格運行までに複雑な経過があった。もともとランランバスは、2015年に別の民間事業者が運行を開始。住民たちも地元の5自治会で「ランランバスを守る会」を結成した。公共交通による利便性の向上に期待したが、台風によって車両が被害を受けるなどし、事業者はわずか3年半で撤退した。

 住民たちは諦めなかった。復活を願って宝塚市の担当者らと協議を重ねた。市の公募で、新たな事業者を決めた。「フクユ」はタクシー会社のため、バスの運行ノウハウはなかった。乗り合いバスの運行に向け、免許を改めて取得したほどだ。手探りの状態で、19年から1年以上、バスを運行する実証実験に取り組んだ。「住民の熱い思いを感じた」。フクユは住民たちの熱意をくみ取り、本格運行への移行を決めたという。

 バスが再び地域で運行し、1年がたった。住民からは「行きたい場所に行けるようになった」「外出しやすくなった」と、満足する声が守る会に届く。一方で「コロナ禍で利用者数はどんな状態か」と存続を懸念する声もあるという。

 守る会、事業者いずれも、利用者数について「もう一歩のところ」と継続的に運行できる手応えをつかんでいる。コロナ禍の中で、乗客数をどれだけ増やすか。再びランランバスがなくなれば、若い世代が高齢になった際、同様の問題がまた起こりうる。いつまでも住み続けられる地域にするには、バスの利便性を周知し、高齢者だけでなく、幅広い世代の理解を得ることが求められる。(西尾和高)

阪神
阪神の最新
もっと見る
 

天気(12月4日)

  • 13℃
  • ---℃
  • 10%

  • 10℃
  • ---℃
  • 50%

  • 14℃
  • ---℃
  • 10%

  • 12℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ